高射幸性パチスロの削減延期

シリーズ名
業界最前線パチンコ・パチスロ新機種発表会 (不定期更新)
話数
第450回
著者
宇惨臭蔵

高射幸機撤去は依存症対策の一環

ギャンブル依存症に対する業界の自主規制として、射幸性が特に高いと認められた遊技機、「高射幸性遊技機(高射幸機)」の削減がここ数年に渡って行なわれてきた。

既にパチンコでは、いわゆるMAXタイプを中心にした機種の撤去が2016年をもって完了しているが、パチスロにおいては段階的な削減として、昨年12月に高射幸機の店内設置比率を30%以下に、来年1月末には15%以下、さらに再来年の2020年1月末で5%以下、そして2021月1月末までには0%にするというスケジュールで進められていた。

なお、パチンコとパチスロで削減に関して温度差があるが、パチンコはクギ曲げにより違法機と見なされていたため、早急に撤去する必要があった。

パチスロに関しては、検定時と性能が変わらない合法機なので、検定・認定期間が残っている間は設置可能だった。ただし、業界として社会問題になっている依存症問題へのアピールとして、あくまでホール団体が自主的に高射幸機を撤去するという趣旨のもと、スケジュールに沿って削減するということになったのだ。

今年の4月には改めて前記の削減目標が決議されているが、この際に新基準(5.5号機、5.9号機、6号機)に該当しない遊技機の設置比率を30%以下にすると変更されている。今年の4月の時点で高射幸機はすでに30%以下になっていたが、それ以外の高射幸機には該当しないものの新基準機より射幸性が高い旧基準機も、削減の対象となった形になる。

11月14日に削減期日の延期が決定

昨年12月の時点における30%以下という目標は、少なくともホール団体加盟ホールでは遵守されており、今後もスケジュール通りに高射幸機を削減していく予定だった。しかし、11月14日に開催されたホール団体の全国組織である全日遊連の理事会において、「一部変更」という名で見直され、「来年1月末時点での15%以下」という項目について、期日の延期が決定したのだ。

団体側から出された文書によると、6号機の市場への供給が極めて厳しい状況にあること、そして市場に出回る中古機自体が品薄で価格が高騰していることから、新たに遊技機を購入して入れ替えることが非常に厳しい状況となっている。そして、設置比率目標値15%以下の達成のため、これらの遊技機の購入を組合員ホールに強いるような結果となれば、経営的に苦しい組合員ホールが「組合脱退」あるいは「廃業」を決断せざるを得ない状況になりかねない、と延期の理由が記されていた。

なお、15%以下とする新たな期日については、6号機の市場の供給状況等を見ながら改めて検討を行なうとしている。

かつては強行していた自主規制

11月16・17日に開催が予定されていた「パチスロサミット2018」が中止になった理由も、「展示可能な遊技機が予定よりはるかに少ない」(公式サイトから引用)ということだった。高射幸機を削減するにも入れ替える機種がないというのは、ホールにとって戸惑う状況であることは間違いない。

しかし、一旦決めた自主規制、しかもギャンブル依存症対策という業界が最も優先しなければならない取り組みを、期日まで残り2ヶ月というギリギリのタイミングで見直すというのは、決して好ましい方策ではないのもまた事実。

パチンコのMAXタイプ撤去の際、また過去には4号機から5号機への移行時、一部ホールではベニア板でふさぐ、俗に「ベニア入替」といわれる苦肉の策を選んだ例もあるように、仮に入れ替える機種がない、また中古価格が高くて購入できないというホールがあっても、当初の目標通り自主規制を遂行できたはず。

業界関係者によると、今回の延期を見越してか、削減していた高射幸機を再び集めている大手ホールもあるとのことで、これでは自主規制が骨抜きになったと思われても仕方ないだろう。

そもそも自主規制といっても、許可営業であるホール営業は行政側との折衝が事前に行なわれるもの。行政側からことあるごとに高射幸機の削減が求められていたなかで、今回のような事態になってしまっては、より行政側から、そして社会から厳しい目を向けられる可能性がある。

かねてから足並みが揃わない、決めたことを守らないとして批判を集めてきた業界だけに、今回の自主規制の延期が業界の将来に及ぼす影響は、決して小さくはないはずだ。

(宇惨臭蔵)