NOと言えない男たち

シリーズ名
試みの高低線 —嵐のハードボイルド人生相談— (毎週水曜日更新)
話数
第48回
著者

担当編集・メガネ(以下、メガネ)「夏休みもいよいよ終わりですが、粗方先生のホットな相談はまだまだ終わりません! 今週はいつも以上にガチめなご相談に、粗方先生が残暑の日差しも顔負けなアツさで真剣にお答えさせて頂きます。それでは先生、今週もよろしくお願いいたします」

■PN「竿玉女」さんからのご相談

パチンコ屋の前を通ると、7歳の息子が必ず入りたいと駄々をこねます。以前はなだめすかしてやりすごしていたけど、最近は周囲の人が騒然とするレベルで暴れ回り、「おかあさんはいつも行っててずるい!」とか「僕も一緒に入りたい!」などと大声で叫ぶので、非常に恥ずかしい思いをしています。

私が住んでいるところはパチンコ屋がとても多く、どのルートで買い物をしても必ず1軒はパチンコ屋の前を通ることになるので迂回もできず悩んでいます。粗方先生、息子が成人するまでパチンコ屋から興味をなくすようないい方法を教えてください。

■粗方先生のお答え

7歳の子供は、大人が思っている以上に"大人"なところがある。むしろ自我が芽生え始め、物事を自分なりにしっかりと考えるようになってきたからこそ、これまでのように"なだめすかす"だけでは満足できなくなっているのだろう。

子供は好奇心の塊だ。もちろん、煌びやかな大人の世界に憧れ、羨ましく思っているのもあるだろうが、おそらくはなぜ自分が行ってはダメなのか…をちゃんと知りたいのだろう。

だからお前も、息子をまだ年端もいかない子供として接するのではなく、1人の男として、1度じっくりと膝を突き合わせて、息子の疑問に答えてやれ。

「ごめんな。子供は入れない、だからママも連れて行ってあげられないルールがあるんだよ」

「もし〇〇を連れて行ったら、〇〇もルール違反で怒られるし、それ以上にママも怒られちゃうんだ」

「〇〇も18歳になったら入れるようになるから、その時にまだ一緒に行きたいようなら、ママと一緒に行こうね」

これはあくまで一例だが、このように「息子のなぜ?」に、1つ1つ丁寧に答えてやれ。そうすれば、お前の息子もきっと分かってくれると思う。

だから小娘、とりあえず息子を子供扱いせずに、お前は大人としの説明責任をしっかり果たしてやれ。

もし、それでも子供が聞き分けないようなら…仕方がない。最終手段だ。小娘、とりあえずスロカイザーの写真を見せた上で、

「パチンコ屋には大人には興味がないけど子供には興味がある仮面の魔人がいて、さらわれたりするかもしれないから危ないんだ。だから子供は絶対に近づいてはいけない」

と教えてやれ。

そしてお前がもし所有していたら…の話だが、「パチスロ必勝本男 最後のラストダンス」のドル箱タワー建設計画第9話で、カイザーが天井手前でGGに当選した時の動画を子供に観せろ。「おろろぉ〜ん、おろろぉ〜ん!!」と啼き喚く怪物じみた魔人の姿を見て、おそれおののき金輪際ホールに近づきたい…なんて言い出さなくなるだろう。

…だが、コレはあまりにインパクトのある映像だけに、お前の息子に一種のトラウマを植え付けかねない危険な一手だ。出来ることなら、使わずに息子を理解させるよう、努めてやってくれ。

■丸亀源五郎

地方出張時のお昼休みに現地の友人とご飯を食べようと待ち合わせ場所へ向かっていた時に、だいぶ強引な宗教の勧誘につかまりました。

何度断っても取り合ってもらえず、最後には断り続ける僕に本気で腹を立てた勧誘員に30分ほど説教されました。途中で電話することも許してもらえず、待ちくたびれた友人は途中で帰ってしまい、結局ご飯を食べることもできませんでした。

僕はどうすればよかったのでしょうか。気弱な自分がつくづくいやになります。

■粗方先生のお答え

恐怖もあったのだろう。俺もこう見えて気が弱いほうだから、断り切れなかったお前の気持ちもよく分かる。俺もNOと言えない日本人だから…

ほぼ休みナシで愛知まで自転車で行かされるし、

動画を撮影するとなれば罰ゲームがデフォルトでついてくるし、

真冬に滝を浴びせられたりするし、

やりたくもない肝試し企画をやれされて肝を潰しておしっこチビりそうになるし、

CO●O壱の10辛と蒙古タ●メンの北極をハシゴさせられて、胃が大火事な状況でパチスロを打たされるし、

演技経験がゼロなのに、前日の夜に分厚い台本を渡されてドラマの主役を演じさせられるし、

スマホのアプリをやりながら東京マラソンを完走させられるし、

…おっと、話が大分横道にそれたな。とにかくまあ、断り切れない性格のせいで散々酷い目に遭ってきたよ。

だから小僧、とりあえずここいらで、俺たちもそろそろしっかりNOと言える日本人になろう。

人の話も取り合わない、そして挙句の果てには逆ギレしてくるような勧誘員がいるような宗教団体が"本物"であるハズがない。現にお前は救われるどころか、逆に苦しめられたのだからな。そんなものは、いくらだって袖にしたっていいのだよ。

強引に断ったら何をしでかすか分からない恐怖はあるが、そのときは大声で助けを求めるなり、近くにお店があれば駆け込むなり、色々と方法もあったハズだ。もちろん交番があればベストだったが。

そして今回に関しては、お前は地元ではなく地方にいたのだからな。相手が恥をかいたと激昂したところで、報復されるリスクも少なかっただろう。だからお前は、もっともっと毅然とした態度で相手を拒絶して良かったのだ。そしてその行動には、一点の間違いもないのだからな。

今回は出来なくて悔しい思いをしてしまったが、もし今後も運悪くこういう事態に遭遇してしまったら、そのときは今回の忸怩たる思いを繰り返さぬように、毅然と対応できるように頑張れ。

■前立腺昌夫

粗方先生こんにちは。僕は今独身で彼女もいない(見込みもない)中年ですが、心配した田舎の母親が僕の結婚相手を探すためにナンパを始めたみたいです。近所で噂になって迷惑だと父親から聞きました。

心配させて申し訳ないとは思うのですが、さすがにこれはやめてほしいと思っています。どう言えばやめてくれるのか、アドバイスをもらえると嬉しいです。ちなみに僕の現住所と田舎は1000km以上離れています。

■粗方先生のお答え

俺も母者には弱いからな。子を想う母の行動を止める手立ての立案については全くもって自信がないが、オヤジさんが迷惑されているとなれば、放っておくわけにもいかないだろう。

ならば、お前が真剣にご母堂を諭すしかあるまい。

「おふくろの気持ちは嬉しいけれど、俺は本気で好きになった相手としか結婚するつもりはないから、もうやめてくれないか」

と、まずは伝えてみろ。

それでも向こうが引き下がらないようであれば、"嘘も方便"という言葉もある。

「実はコッチで彼女が出来て、結婚するかどうかは分からないけど真剣に交際を始めたところだから、心配かもしれないけど少し様子を見ていて欲しいんだ」

と、言ってみろ。1000Kmも離れているのだ。嘘をついてもそうそうバレることはあるまい。

…もちろん、俺だって嘘が良くないことだということは重々分かっている。だが、大切な人を心配させないために吐く嘘は、例外だとも思っている。それは優しい嘘だ。きっと閻魔様も見逃してくださるだろう。

「むしろ見逃されなくても仕方がない。おふくろを心配させるくらいなら、俺の舌なんぞいくらでもくれてやるさ」くらいの気持ちで、嘘をつききってみろ。

そして日本には、"嘘も方便"の他にもう1つ、素敵な言葉があるじゃないか。

「嘘から出た真」

お前は嘘を真実にすべく、そしてご母堂を本当に安心させるべく、明日から真剣に出会いを探せ。

だから小僧、とりあえずご母堂にナンパなんかさせるな。そのぶんお前がナンパに精を出せ。

…と、これはさすがに言いすぎだが(苦笑)、それくらいご母堂に負けない積極性を持って、これからは異性との出会いを求めてみろ。なんだかんだ言って、孫を抱かせてやるのが一番の親孝行だからな。

とりあえず嘘も方便で猶予期間を作りつつ、嘘から出た真に出来るように精一杯努力してみろ。

メガネ「嘘も方便から、嘘から出た真に繋げろ…か。嵐さんもホンマ口八丁手八丁というか…それらしいこと言わせたら必勝本でも随一やね」

「いやいやいや! コレはそれっぽい…とかではなく、アタクシなりの、いや、粗方先生からの精一杯のエールですから! お母さんのために、そして自分のためにも頑張って欲しいという一念から生まれた流れです」

メガネ「まあでも、孫を抱かせてやるのが一番の親孝行…というのは間違いないわな。それに関してはホンマ良いこと言っとる」

「メガネさんも、もう四十路ですし、そろそろ親孝行を考えてもいいのでは?」

メガネ「まさか、珍しく褒めたらブーメランが返ってくるとは思ってもみなかったわ(苦笑)。その話はまたの機会で…」

「ズルっ(笑)」



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