泥沼の性能詐称機問題

シリーズ名
現役ホールマネージャーだけど、なんか聞きたいことある? (毎週日曜日更新)
話数
第122回
著者
アタマキタ
連日のように機械トラブルで問題が発生しているが、前々回のこのコラムで書いた小当たりRUSH搭載機の補填を極端にケチった某メーカーは、今まさに泥沼の状態となっている。

こういう時はスピード解決が第一で、対応が遅れれば遅れるほど疑心暗鬼になるホールが増えていく。そうなると、ネットに転がるありえない情報に振り回されやすくなる。

まさに今がそういった段階に差し掛かっているのだが、少台数しか購入しておらず大した問題ではないと考えていたホールも、ネットの情報に振り回され、「自分のホールもなんとかすれば払わなくていいんじゃないか」と支払いを止めたり、弁護士経由で内容証明を送ったりし、どうにもならない大混乱の状況になっている。

そんな混乱を招いたこの機械の性能詐称による大量販売は、業界内に大きなダメージを与えることになったと言えるだろう。


そして、先日この件に関しての質問が届いた。内容は一般ユーザーからその機械のホール対応についてだ。


この問題となった違法機がカラい機種だというのであれば、なんで早急に撤去しないのか? ホールは客からぼったくり、さらにメーカーからもぼったくるのか?

全国データでは80%の出玉率で、TY3200個しかないなんて酷すぎる。データで見てもカラいということが分かっているのに、なにもしないで客からぼったくっているホールなんぞ、次機種の20万円の値引き券を発行するメーカーと同じく腐っていないか?


という質問だった。この質問の内容は、なんとなく合っているような錯覚に陥ってしまうが、そんなことはないのだ。


まず、この機械は違法機ではない。保通協の試験に合格して許可を受けたなんの問題もない機械だ。ただ、性能の部分は聞かされていた内容と大きく異なってしまい、ホールが望むような機械ではなかったというだけの話。質問にあるTY3200となると、相当カラい機械だと言えよう。

問題なのはそれが分かったうえでホールがどう立ち回るか? だと思う。

当然のことながら、機械設置当初は出玉の出方などはまったく分からないので、メーカーが言っている数値に合わせて調整していくことが多い。しかし、設置から1週間を過ぎたあたりで全国データを見ていれば、この機械はカラいと判断できたはずだ。そう判断すれば、「それならば回そう」となるのではないか?

実はあの小当たりRUSHの出玉の純増は、釘によっても大きく左右される。そういうこともあり、総合的に考えればホールもなにかしらの手を打つことはできたはずなのだ。

それを怠って、回転率を上げずにそのまま放置したり、右打ち中の出玉を増やそうとせずに使っている店も当然あった。

そういう店には怒り心頭でも構わないが、全ての店が同じように使っているとは考えないでほしいという気持ちもある。

そして、質問にある出玉率80%という数字はどこから拾ってきたものだか分からないのだが、そこまで出ない機械ではない。この機械と同時期に販売されたパチンコには、もっとカラい機械だってある。しかし、その機械はカラいことがクローズアップされずに済んでいる。


先日、この機械を大量導入して勝負をかけたとあるホール店長の愚痴を聞いた。

導入初日のデータチェックでこの機械がカラいことが分かったので、1000円28回転の破格の調整にし、RUSH中も玉が増えるよう、こぼれないようにしたらしい。

そんな状態なので連日赤字になったが、お客様が楽しめるようにとその状態を1週間続け、結果300万円ほどの赤字を出した。

しかし、翌週メーカーが発表した見本機の詐称事件がネットで出回ったことで、「カラい機械だから…」という評判が一気に常連のなかに広まり、同じ状態で設置してあったのにも関わらず、徐々に稼働が下がっていってしまったのだ。

さらに追い打ちをかけるように、「いつまでもこんなぼったくりマシンを置いてる店はロクな店じゃねー」と店にも来たことがないユーザーからSNSで誹謗中傷され続け、結局赤字のまま撤去することになった。この時点での赤字額は、350万円ほどに広がっていたらしい。

メーカーに支払った機械代は決して返ってはこない。次機種は20万円の値引きと言われても、次機種の設定付きの甘デジを入れたところでそれが問題解決になるわけもない。

結果、会社からも責任を取らされることになったらしい。そんなあまりにも残念な結末に、かけてあげる言葉もなかった…。


このように様々なところに波紋を残した今回の問題を、他のメーカーももっと真剣に考えなくてはならないと思う。


ではまた来週。


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