「小当たりRUSH中の純増個数」で問題になったあのメーカーからの謝罪文
- シリーズ名
- 現役ホールマネージャーだけど、なんか聞きたいことある? (毎週日曜日更新)
- 話数
- 第120回
- 著者
- アタマキタ
前々回のコラム(メーカーが詐欺行為!?)で書いた某社の機械の問題だが、ここにきて遂に大きな動きがあった。それは、一連の行為をメーカーが認めるという前代未聞のものだった。
製造メーカーによる機械内容の詐称という出来事に、ホールの人間の間でも反応は様々だが、某社からホールに謝罪文が送られてきた。
謝罪文はTwitterやブログなどでもすでに出回っているが、この文章にはおかしな部分が何点かある。
まず最初に、以下のようなことが書かれている。
当該機種は「RUSH中の純増個数」をセールスポイントとしておりました。この「RUSH中の純増個数」は、正しくは小当たりラッシュに見せかけた大当たりを含む「〇〇RUSH中」のものでしたが、開発サイドから営業サイドに正確に伝えることができておらず、営業サイドではこの「〇〇RUSH中」を「小当たりRUSH中」との認識で見本機のRUSH体感モードを作成し、偽っているという認識がないまま皆様に営業活動をしてしまいました。
というようなことが書かれている。
これを分かりやすく読み解いてみよう。
文中の「〇〇RUSH」というのは、確変大当たりのスタートから終了するまでの出玉のことを指す。つまり、初当たりで確変を引き、ラウンド終了後に小当たりRUSHに突入して出玉を増やし、またRUSH中に大当たりを引き、運良く再びRUSHに突入させ、最後に通常大当たりを引き終了する、といった初当たり確変から終了までの一連の出玉の塊を指している。
この出玉の塊の純増個数の平均値を算出し、その出玉があたかも「小当たりRUSH」だけで得られるように見せかけた「見本機のRUSH体感モード」というものを作成したと言うのだ。そして、これが営業と開発の連係ミスで起こった言っているのだが、これには甚だ疑問が残るというものだ。
そもそも見本機にそんな凝った仕様を搭載する意味がない。大当たり確率を甘めに設定したり、初回は必ず確変大当たりにする仕様はよくあることで、この機械においてもその様な仕様でよかったはず。それなのに、わざわざRUSH体感モードなるものを作成する理由がどこにあったのか?
また、新台の先見せに呼ばれたホール企業は、通常時から大当たりする機械は置かれておらず、RUSH体感モードだけしか打てないと営業マンに言われたらしい。そして、RUSH中の出玉の純増スピードに魅せられてしまったということになる。
後日、改めて通常時の演出などを見たいとの問い合わせをすると、見本機は工場へ送り返してしまったので、ショールームに機械はないというのだ。
この見本機の行方だが、新台が売れたことで部材が不足したために部品交換が行なわれ、すでに新台として販売。結局、事実は分からないまま葬られることとなった。
ショールームで見せられた機械の出玉、時速30000発(純増24000発)。
実際にホールに納品された機械の出玉、時速24000発(純増18000発)。
時速6000発という、大きな誤差を残したまま…。
さらに文章の後半部分には、
当該機種がご期待に沿えていないなかで、皆様にはお許し頂けないのは重々承知の上ではございますが、当該機種を購入頂きました台数分は恒久的に1台当たり20万円での下取りを実施させて頂きたく存じます。
と書かれている。
これには驚くというか、呆れかえって話にならないと言ったところだ。
機械が期待に沿えていないのではなくて、保通協で適合した機械とは別の性能を偽り、改造を施した機械を見せて騙し売りをしたにもかかわらず、この件での機械代金は返却しないが、今後販売していく機械から1台当たり20万円の値引きをするというのだ。
こんな機械を売っといて、そもそも集金できるのか? こんなことをするようなメーカーの次機種が、いくら20万円引きと言ったとこで、買う気が起きるわけがない。
他業種においてこんなことが起これば、製品を回収して全額を払い戻すというのが普通に行なわれていることだ。
今週からメーカーの人間が謝罪のためにホールを回っていると聞くが、こんなふざけた内容をぶつけてくるところを信用するべきではないと思う。
さらに、この機械の販売においては、一部の地域の販売店で販売数を大きく伸ばすために、売れ残った別の機械も抱き合わせて売るというえげつないことが行なわれたらしい。
そんなこともあってか、噂ではこの地域のホールから相当なクレームが出ているようで、こんな自分の腹を痛めないような補てん内容では到底納得できない、というホールが続出しているようだ。
そして、これはあくまでも噂話なのだが、とある団体がこの某社の対応を絶賛しているらしい。
なぜこういった塩対応を絶賛しているのか? それは、問題が発生した時に全額返金などといったことをしてしまえば、これが前例となり、どのメーカーも同じように返金しなくてはならなくなるからだというのだ。
もうこれは完全にホールをなめ腐っているというか、正気の沙汰とは思えないような発言だと言ってもいいだろう。
まだまだこの件ではホールとメーカーの間で温度差があり、一筋縄という訳には行かないのだが、ここでしっかりとした責任をメーカーに負わせない限りは、永遠にこういう立場関係から抜け出せないだろう。
ちなみに、現在ホールで稼働中の某社のこの機械はきちんと保通協の試験で適合した機械なので、一般のお客様が損をしているなどといったことはない。
ショールームで我々が見た機械とは違うが、小当たりRUSHの出玉性能だけで言えば、過去最高と言える内容だ。スペック自体はカラめということもあり、これに早くから気が付いてブン回しているホールでは、まだまだ人気機種でもある。
初めから正直に適合した機械を見せて販売していたら、これだけの台数は売れなかったのかもしれない。しかし、これだけ機械の寿命を縮めるといった出来事も過去にはなかっただけに、色々な意味で残念な結果となってしまった機械である。
ではまた来週。
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製造メーカーによる機械内容の詐称という出来事に、ホールの人間の間でも反応は様々だが、某社からホールに謝罪文が送られてきた。
謝罪文はTwitterやブログなどでもすでに出回っているが、この文章にはおかしな部分が何点かある。
まず最初に、以下のようなことが書かれている。
当該機種は「RUSH中の純増個数」をセールスポイントとしておりました。この「RUSH中の純増個数」は、正しくは小当たりラッシュに見せかけた大当たりを含む「〇〇RUSH中」のものでしたが、開発サイドから営業サイドに正確に伝えることができておらず、営業サイドではこの「〇〇RUSH中」を「小当たりRUSH中」との認識で見本機のRUSH体感モードを作成し、偽っているという認識がないまま皆様に営業活動をしてしまいました。
というようなことが書かれている。
これを分かりやすく読み解いてみよう。
文中の「〇〇RUSH」というのは、確変大当たりのスタートから終了するまでの出玉のことを指す。つまり、初当たりで確変を引き、ラウンド終了後に小当たりRUSHに突入して出玉を増やし、またRUSH中に大当たりを引き、運良く再びRUSHに突入させ、最後に通常大当たりを引き終了する、といった初当たり確変から終了までの一連の出玉の塊を指している。
この出玉の塊の純増個数の平均値を算出し、その出玉があたかも「小当たりRUSH」だけで得られるように見せかけた「見本機のRUSH体感モード」というものを作成したと言うのだ。そして、これが営業と開発の連係ミスで起こった言っているのだが、これには甚だ疑問が残るというものだ。
そもそも見本機にそんな凝った仕様を搭載する意味がない。大当たり確率を甘めに設定したり、初回は必ず確変大当たりにする仕様はよくあることで、この機械においてもその様な仕様でよかったはず。それなのに、わざわざRUSH体感モードなるものを作成する理由がどこにあったのか?
また、新台の先見せに呼ばれたホール企業は、通常時から大当たりする機械は置かれておらず、RUSH体感モードだけしか打てないと営業マンに言われたらしい。そして、RUSH中の出玉の純増スピードに魅せられてしまったということになる。
後日、改めて通常時の演出などを見たいとの問い合わせをすると、見本機は工場へ送り返してしまったので、ショールームに機械はないというのだ。
この見本機の行方だが、新台が売れたことで部材が不足したために部品交換が行なわれ、すでに新台として販売。結局、事実は分からないまま葬られることとなった。
ショールームで見せられた機械の出玉、時速30000発(純増24000発)。
実際にホールに納品された機械の出玉、時速24000発(純増18000発)。
時速6000発という、大きな誤差を残したまま…。
さらに文章の後半部分には、
当該機種がご期待に沿えていないなかで、皆様にはお許し頂けないのは重々承知の上ではございますが、当該機種を購入頂きました台数分は恒久的に1台当たり20万円での下取りを実施させて頂きたく存じます。
と書かれている。
これには驚くというか、呆れかえって話にならないと言ったところだ。
機械が期待に沿えていないのではなくて、保通協で適合した機械とは別の性能を偽り、改造を施した機械を見せて騙し売りをしたにもかかわらず、この件での機械代金は返却しないが、今後販売していく機械から1台当たり20万円の値引きをするというのだ。
こんな機械を売っといて、そもそも集金できるのか? こんなことをするようなメーカーの次機種が、いくら20万円引きと言ったとこで、買う気が起きるわけがない。
他業種においてこんなことが起これば、製品を回収して全額を払い戻すというのが普通に行なわれていることだ。
今週からメーカーの人間が謝罪のためにホールを回っていると聞くが、こんなふざけた内容をぶつけてくるところを信用するべきではないと思う。
さらに、この機械の販売においては、一部の地域の販売店で販売数を大きく伸ばすために、売れ残った別の機械も抱き合わせて売るというえげつないことが行なわれたらしい。
そんなこともあってか、噂ではこの地域のホールから相当なクレームが出ているようで、こんな自分の腹を痛めないような補てん内容では到底納得できない、というホールが続出しているようだ。
そして、これはあくまでも噂話なのだが、とある団体がこの某社の対応を絶賛しているらしい。
なぜこういった塩対応を絶賛しているのか? それは、問題が発生した時に全額返金などといったことをしてしまえば、これが前例となり、どのメーカーも同じように返金しなくてはならなくなるからだというのだ。
もうこれは完全にホールをなめ腐っているというか、正気の沙汰とは思えないような発言だと言ってもいいだろう。
まだまだこの件ではホールとメーカーの間で温度差があり、一筋縄という訳には行かないのだが、ここでしっかりとした責任をメーカーに負わせない限りは、永遠にこういう立場関係から抜け出せないだろう。
ちなみに、現在ホールで稼働中の某社のこの機械はきちんと保通協の試験で適合した機械なので、一般のお客様が損をしているなどといったことはない。
ショールームで我々が見た機械とは違うが、小当たりRUSHの出玉性能だけで言えば、過去最高と言える内容だ。スペック自体はカラめということもあり、これに早くから気が付いてブン回しているホールでは、まだまだ人気機種でもある。
初めから正直に適合した機械を見せて販売していたら、これだけの台数は売れなかったのかもしれない。しかし、これだけ機械の寿命を縮めるといった出来事も過去にはなかっただけに、色々な意味で残念な結果となってしまった機械である。
ではまた来週。
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