目先の集客だけを考えて抜け道ばかりさぐり、客を煽るホールが1番アホだと思う

シリーズ名
現役ホールマネージャーだけど、なんか聞きたいことある? (毎週日曜日更新)
話数
第110回
著者
アタマキタ
今回も1つの質問にじっくり答えていきたいと思う。



【オーシマさんのご質問】
風営法において「射幸心をそそるような行為は規制の対象となる」といった旨の記載がありますが、その基準が曖昧で、警察の勝手な見解で取り締まりを行なっているように感じます。そもそも風営法違反ならば、細かくどういうときにどんな罰則を受けるかを明示しておかないと、警察の拡大解釈で罰せられたり、罰せられなかったりと差が出てきてしまうと思いますし。

というかそれ以前に、広告宣伝規制は憲法で保障されている表現の自由に反していると思います。

なので、どこかのホールが本気で警察相手に裁判をすれば勝てると思うのですが、どうでしょうか?



【回答】
難しい質問が飛んできましたね(苦笑)。

「射幸心をそそる恐れのある行為をしてはならない」。この言葉は色々なところに保険を打っていて、たしかに曖昧な表現となっていますね。

射幸心をそそるというのは、その行為を受ける相手の感情による部分が大きく、店側は意図としていなくても罰則を受けることがあるということ。

この問題、類似しているモノがあるのだが、お分かりだろうか?

これまでの文脈で、賢明な読者の方はお気付きかもしれないが、その行為は内容は違えど「セクシャルハラスメント」と似ている。解釈の基準は相手の中にあり、どう感じたか? というところで判断されてしまうのだ。


以前とあるパチンコ番組に呼ばれ、色々と話をさせてもらったことがあった。その番組で「現在ホールに設置されている機械で、注目していきたい機種などはあるか?」と質問された。その質問に対し、販売台数やこれまでの流れを鑑みて、あくまでも個人的見解という含みを持たせつつ、推奨台を3機種挙げさせてもらった。

すると、翌日警察から「番組の内容で話があるから来てくれ」と連絡があったのだ。

早速所轄の警察に出向くと、そこには既に指示処分の書類が用意されており、意味も分からず説明をうけることになった。

その説明によると、どうやらパチンコ店の責任者という立場で注目の機種などを語ることは「特定機種をことさら煽る行為」に該当するというのだ。

しかし、この警察の言い分にはどうしても納得できなかった。なぜならば、推奨台として挙げた3機種のうち、2機種は自店に設置されていなかったからだ。ない機種を煽っていると言われる意味が分からない。

そういうこともあり、納得できずに反論すると、担当官が驚くようなひと言を浴びせてきた。


「他店舗の射幸心を煽っただろ…」


…何言ってんだ、コイツ?

俺の頭の中には?マークが渦巻いてしまっていた。

どうあれ、そういうつもりで言ったわけではないので、それでも納得いかないと告げた。すると、担当官は俺にまたしても背筋が凍るようなひと言を…。


「認めないというのであれば、弁明書を書いていただいて、後日指定した日にお持ちください」

まったくもって聞く耳を持たない感じだったのだ。


その後、弁明書を書き、警察に指定された日に持ち込んだが、あっさり担当官に、

「それじゃ、お認めにならず、戦うといった感じでいいんですね?」

このひと言で渋々引き下がるしかなかった…。そして、指示処分相当のペナルティを受けることになった。


たしかにオーシマさんの言うとおり、この話を裁判にかければ勝てる可能性はある。しかし、ホールはあくまでも風俗営業である以上、警察の管理下に置かれている商売である。

おかしなことを言うようだが、ここで裁判で勝つことがどれだけ危険なことか? というのを、俺は別の事件の経験から知っている。

それは相当昔、初代のモンスターハウスやバトルヒーローがあった時代の話なのだが、とあるパチンコホールが遠隔操作で逮捕された。

このホールは明らかに「クロ」なのだが、優秀な弁護士がホール側につき、証拠不十分で不起訴処分となった。そして、そのホールはその後も営業を続けたのだが、結局は閉店した。

閉店の明確な理由は明らかになっていないが、どうやら新台入替で警察から嫌がらせを受けていたらしいのだ。


通常、新台入替を行なう際は、まず所轄警察の生活安全課の保安係に納付金を払い申請する。そして、新台入替当日にホールに来てもらって機械の検査をしてもらう。そこで問題がなければ警察官が署に戻り、署長が印鑑を押す。そして、開店が可能だということを知らされるわけだ。

しかし、先ほどのホールは要注意店舗として扱われ、新台入替の申請と検査は所轄ではなく、全て県警本部が行なうということになったらしいのだ。

これは警察から見ればなんら問題がない行動である。しかし、これにはある別な問題が潜んでいた。

通常ならば、新台入替の申請をすれば、開店予定日の当日かその前までに担当官が検査に来てくれる。しかし、ここのホールには担当官がなかなか行かないという嫌がらせをされていたらしいのだ。

新台入替の申請を受けたら、ホールの都合に合わせて検査に行かなくてはならないというルールはない。警察からしてみれば、事件事故などの重要な事案があれば、ホールの新台入替の検査などは後回しにするのは当然だろう。

これは警察の業務怠慢でもなく、当たり前の範疇として起こりうることだ。しかしながら、ホールと警察との信頼関係においては、概ね開店予定日までに検査をするということになっているのだ。

結局そのホールは、新台入替をしようとしても検査を受けるまでに平均で4〜5日くらいは遅れてしまい、他のホールが新装開店していても、ここはできないという事態に。そうなると次第に客数は減り始め、あの事件後1年足らずで閉店することとなった。

「勝ってはいけない相手に勝って、命を縮めた」という結果に終わってしまったのだ。


しかし、警察もホールに対して圧力をかけてくるばかりではない。適切な指導や規制を繰り返した結果として、他の団体の攻撃から守られ、庶民の娯楽として長きにわたり日本に根付いているというのも事実だ。

オーシマさんにしてみれば、このような回答は歯切れの悪いように聞こえるかもしれないが、長きにわたり業界に身を置くものとしては、肝心なのはバランスの問題だと思っている。


ちなみに、ひとつ勘違いされているようだが、広告規制に関しては警察から言ってきたわけではなく、もともとはホールが警察に対して「自主的に規制する」と宣言をしたものだ。

それなのに、目先の集客だけを考えて抜け道ばかりさぐり、客を煽るホールが俺は1番アホだと思っている。そういう奴らの言動が混乱を招き、規制をどんどん厳しい内容に引き上げていくというのに…。

どこまでいってもホール同士の足並みなんて揃うことはないだろう。しかし、やった者勝ちの今の状況を厳しく監視できる仕組みを、ホール業者が組合などを通じてしっかりと確立させるといったことの方が大事ではないかと思う。


ではまた来週。


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