いつの間にかパチンコは「庶民の娯楽」から「金持ちのゲーム」になってしまった

シリーズ名
現役ホールマネージャーだけど、なんか聞きたいことある? (毎週日曜日更新)
話数
第109回
著者
アタマキタ
今回は、1つの質問にじっくり答えていきたいと思う。



【今年は戌年さんのご質問】
最近のパチ&スロの遊技人口はどのように推移しているのでしょうか? また遊技人口を年齢別で見ることはできるのでしょうか?

僕は今年で36歳になります。今から15年ほど前はパチンコにもパチスロにも20歳前後のお客がもっともっと多かったと思うのですが、最近は自分より若い人をほとんど見かけません(よく行くのは1000台規模で5割稼働のホール)。若者の減少について、アタマキタさんなりの原因と対策を教えてほしいです。



【回答】
凄い質問が来たな(笑)。

これについては、パチンコ業界がもう少し真剣に向き合っていれば、今のような若年層の減少に対して、歯止めがかけられたのではないかと思っている。

現在のパチンコ遊技人口のなかで、1番遊技している年齢層は40〜60代だろう。ちょうど俺もその世代に合致する。

昔を振り返って考えてみたのだが、俺がパチンコを始めた10代の頃は、今のような綺麗なホールは少なく、入口の自動ドアは黒塗りで、怪しい雰囲気に包まれていた。しかし、そんな状況にも関わらず、今と違って20〜30代の若い世代の人たちも多く、幅広い客層がパチンコを楽しんでいたように思える。

その頃と今のパチンコとの決定的な違いは、設置されている機種の構成にある。設置機種のバリエーションと言えばいいのだろうか。


パチンコ台は大まかに分けると、

【第一種】
デジタルが付いていて、デジタルが揃うと大当たりとなる通称セブン機。主な機種は真・北斗無双、海物語シリーズ。

【第二種】
羽根の開閉により役物のVゾーンに入賞させることにより、出玉が得られる通称羽根物。主な機種はトキオデラックス。

【第三種】
デジタルが揃った後、もしくはデジタルが揃わなくても特定の部分に玉を入賞させることにより、出玉獲得の権利を得られる通称権利台。主な機種は天下一閃、天龍∞。

【普通機】
電役などが搭載されてなく、チューリップなどに玉が入賞することにより、出玉が得られる通称チューリップ台。主な機種はコスモアタック7。


といった部類に分けられている。

そのなかで、現在最もホール設置が多いのは、言わずと知れた第一種のセブン機だ。


30年も前の話だが、その頃は今のようにセブン機ばかりではなかった。一例ではあるが、その当時のホールにおける機種の比率は、

羽根物…35%
一発台…30%
権利物…20%
セブン機…10%
普通機…5%


という感じだった。

そんななか、ホールに通う人たちは自分で機種を選び、ギャンブル性をコントロールできていた。

現にまだ高校生1年生だった俺は、すでにパチンコ店に通っていたのだが、学生ということもあって、財布のなかにはいつも2000円程度の金しか入っていなかった。なので、友達と日雇いのバイトをし、働いて得た6000円の給料を握りしめて「いざパチンコに!!」といった感じだった(笑)。


ホールに着くと、まずは釘の甘そうな普通機を打ち出す。投資は100円ずつで、1000円あれば1時間程度は遊べたものだ。

そこで少し出た玉を持って羽根物に移動。打ち止めを目指して打ち続け、4000個の打ち止めになれば12000円になった。もうその時点で歓喜の声を上げるほどだ。

それを交換所で現金し、ようやく財布には1万円札が入る。いい気分だ。そこで帰ってもいいのだが、さらなる高みを目指して、一発台の島に勝負に行く。

たった一発入れば、5000個の玉が一気に出てくるので、普通機や羽根物を打つ感覚とは違い、緊張感が半端ない。ハンドルのちょっとしたズレを一生懸命自分なりに調整して、入賞口に向かう玉筋をひたすら見つめる。

そして思わず息を飲む、心臓がドクンとする瞬間が!!


見事大当たり!!


昼過ぎからパチンコを打ち出して、20時頃に店を後にするが、バイトで稼いだ6000円が、3万円になって財布に入っている。思わず万札を取り出して、ニヤニヤしてしまうほどだった。

その頃はそのようなパチンコの楽しみ方、打ち方ができた。そして、その時代のパチンコが1番楽しかったと思う。今とは全く感覚が違っていて「3000円持っていれば、パチンコに行ける」という気にさせてくれた。


それが大きく変わってしまったのは、パチンコが第一種に偏重してしまったことにあるだろう。

より高い射幸性を求めた機械を出し続け、ホールは大きな売り上げを得るために買い続ける。そうなると、メーカー側もより多く儲けるなら、羽根物なんか作っているよりも、セブン機を作った方がどう考えても効率がいいという話になる。

そして、射幸性を高めた機械作りは止まらず、さらには差別化を図るために人気コンテンツの版権を高い金を支払って獲得し、機械を作る。それにより、いつの間にか機械代もどんどんと上がっていく。

ホールは、ヒットが見込める後継機を購入するために、抱き合わせ販売や機歴(ヒット機種の前の機種の購入実績)作りなどで余計な買い物をし続ける。

結果としてホールは高コスト体質となり、以前のような還元率で商売ができなくなる…。


いつの間にかパチンコは、3000円を握りしめて遊びに行く「庶民の娯楽」から「金持ちのゲーム」になってしまったのである。そんな状況では、若年層はおろか、既存のお客さえも逃げて行ってしまうのも当然だ。

人気の機械をより多く導入したいという気持ちはたしかに分からなくもないが、切っても切っても金太郎飴的な機械の連鎖に、多くの顧客は失望し、離れて行ってしまったんだと思う。

今は業界も依存症対策などを迫られているが、本来このような状況を変えていくのは、高射幸性遊技機の撤去ではない。遊技機の比率を決定して、昔のような多様化するニーズに応えられるホール作りをするべきだと思うのだが…。

例えば、先ほど昔の話として例に挙げた、

羽根物…35%
一発台…30%
権利物…20%
セブン機…10%
普通機…5%

このような機種の比率を、今の時代に合わせてホールに守らせることにより、メーカーは第一種のセブン機だけではなく、いろいろなタイプの機械の開発に着手していくことになるだろう。


高射幸性遊技機のことばかりが問いただされ続けているが、それよりも今の「数万円の金を持っていないと、パチンコで丸1日遊べない」といった状況の方がおかしいと言える。

この状況が変わっていけば、再び若年層が低額でも十分に遊べるパチンコに参加してくれるかも知れないと思っている。


パチスロでは、4号機時代の大ヒット機種であるハナビを再び開発し、世に放ったアクロスの功績は非常に大きく、スリープユーザーと言われる4号機時代のファンや、若年層の掘り起こしに見事成功した。

パチンコでは、現在アムテックスやA-gon、愛喜といったメーカーが、セブン機以外の機械を積極的に開発している。それらのメーカーからヒット機種が出るかどうかは分からないが、開発を続ける限り、俺はどんなに台数が少なくても必ず買い続ける。そして、わくわくした気持ちで展示会に出掛けるだろう。


自分が若い頃にパチンコにのめりこんでいったようなあの興奮を、少しでも今の若年層に味わって貰いたい…それが夢物語で終わらないことを切に願う。


ではまた来週。


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