インド全力投球だと思ったが、沖縄や博多方面の言葉が出てきてプチパニック!

シリーズ名
回胴皇帝的必勝塾ドッカーン (毎週木曜日更新)
話数
第106回
著者
スロカイザー
消えては生まれ、生まれては消え——パチスロの新台は水面に浮かぶ泡のよう。全ての機種を打ち、全ての機種を堪能したいと願っても、その願い叶うこと能(あた)わず。


2週間前の話。ふらりと立ち寄ったホールに、まだ一度も触れたことがない機種が設置されていた。打ったことのない台など珍しくはない。ひとたび新台ラッシュが訪れれば、全ての機種を堪能することなど不可能となる。

ただ、この日目撃した機種は他の「打ったことがない機種」とは一味違った。打ったことがないというだけではなく、存在すら知らなかった。生まれたことすら知らなかった。


その機種の名は「ナイトオブマハラジャ」。

インド感全開の筐体デザイン。上部パネルには、ぶん殴りたくなるような笑顔を浮かべている中年男性(マハラジャ?)がデカデカと描かれているのが特徴的だ。

台間に置いてあった小冊子を見てみると「高確率ボーナス台の決定版!!」と書かれていた。ボーナス確率が高い、遊びやすいノーマルタイプなのだろうか。

ペラペラと小冊子をめくり、ゲーム性を確認してみると、「ステルスボーナス(大・小の2種類)」という知らない間に当選しているボーナスが存在していること、1500Gの完走型RT「ナマステモード」が搭載されていること、がわかったた。

ステルスボーナスは、まぁ要するに入賞形がハズレ目っぽいボーナスのことだろう。これには私の好奇心は刺激されなかったが、ナマステモードには食指を動かされた。1500Gの完走型RT…純増枚数はきっと1枚以下だと思うが、その一撃性能を味わってみたい。ネーミングセンスは崩壊気味だが、このナマステモードを味わってみたい。

「打ちたい」

私の中に芽生えた欲求。だが、この日はあいにく長時間打つほどの時間的余裕がなかったので、私は泣く泣くホールを後にした。どうせ打つなら、ガッツリ打ちたい。


そして先日、ついに刻は来た。

私は足早にホールに向かい、台の前に腰を下ろした。目の前にある機種は当然「ナイトオブマハラジャ」。今日の目標は、もちろんナマステモード突入だ。ちなみに、ナマステモードの突入契機は、小冊子によると「小ステルスボーナスの一部」らしい。


さあ、実戦開始だ。狂気じみたランプを見ながらレバーを叩く私。どうしてインド人が「連打! 連打!」と叫んでいるのかはわからないが、とりあえず、このランプが光ったらボタンを連打するのだろう。

液晶ナシのノーマルタイプなので、特に何も起きずにリールの回る音だけが聞こえる。最近の機種は賑やか…を通り越して、何も起きていないくせに騒がしすぎる機種が多いので、こういう静かな機種も一興だな。

「…さいっ!!」

打ち始めて十数ゲーム後、レバーを叩いたときに筺体から女性の声が聞こえた。うむ、予告音だな。私の耳には「はいさいっ!!」と聞こえたのだが、今打っている機種の名は「ナイトオブマハラジャ」とインド全力投球の台。「はいさい」は沖縄の言葉だ。

流石に私の聞き間違えか、それとも違和感演出で激アツ…なのか。完全初打ちなので全てが未知の領域。とりあえず、予告音が鳴ったので演出ナシよりはボーナスに期待できるハズ。スプーン1杯ほどの期待を込めてリールを停止させてみたが、ボーナスは非当選。

うむ、「はいさい」は聞き間違えだな。きっと、「はいさい」に似たインドの言葉だろう。


「なんくるないさ〜」

数ゲーム後、再び予告音が鳴り響いた。今度はどう聞いても沖縄の言葉だ。ということは、さっきの予告音はやはり「はいさい」だったのだな。

で、ボーナス非当選。またしばらくしたら、予告音。

「はいさいっ!!(男バージョン)」

で、ボーナス非当選。この機種はインドを題材にしているよな。で、沖縄の言葉が聞こえたよな。で、アツくも何ともないよな。



……

………どゆこと!?

頭の中はプチパニック。動揺しつつも今まで起きたことを整理して、私は1つの結論に辿り着いた。きっと、この機種は完全告知機なのだ。だから、沖スロっぽさを出しているのだ。メーカーの狙いは全く判らないが、きっとインド+沖スロのハイブリッドマシンなのだ。そうだ、そうに違いない。


「なんばしよっと」

…はい!? 私の聞き間違えでなければ、いや、聞き間違えるハズはない。どう聞いても博多方面の言葉だ。で、ボーナス非当選。もう、意味が判らない。

その後…

「出てこいやー」

「間違いねぇ」

「アイゴー(韓国語?)」

「チャーーーーンス(大声)」

などなど、立て続けに多種多様な予告音を確認。で、ことごとくボーナス非当選。この機種がおかしいのか、それとも私がおかしいのか。頭の中は棒でかき回されたかのようになった。

そして、200G近く回した頃に新たな変化が起きた。この機種には13枚役(BAR・7・7など)があるのだが、その入賞音に変化が生じたのだ。もしやと思って期待しながらレバーを叩くと、予告音が発生。流石にこれは当たっただろう。


パオンとゾウのランプ(告知ランプ?)が光って、7が揃った。よし、当たったぞ。

どうでも良いが…


このゾウが2本足にしか見えないので、見ていて何か不安を覚える。つか、何に乗っているのだ。なんで片足立ちしているのだ。

色々な疑問を感じつつもボーナスを消化。ボーナス後、既に「お腹いっぱい感」を覚えていたが、私はまだヤメない。もしかすると、この機種の売りであるステルスボーナスやナマステモードを経験すれば、印象が変わるかもしれない。「お腹いっぱい感」が払拭されるかもしれない。


私は黙々とレバーを叩き続けた。

13枚役入賞。
13枚役入賞。
13枚役入賞。

あれ、13枚役が連続で成立したぞ。ふと頭上のデータ表示器を見てみると、ゲーム数がリセットされていた。

………。

ああ、これがステルスボーナスか。マジでいつ当たったのかわからなかった。

ちなみに上パネルに配当表があるので…


ステルスボーナスの入賞形(上は大ステルスボーナス、下は小ステルスボーナス)はわかっている。うむ、今度はちゃんと成立を察知しよう。怪しい出目があったら、しっかりとチェックだ。

13枚役入賞。
13枚役入賞。
13枚役入賞。

完全にステルスボーナスを見逃した。別に見逃してもデータ表示器を見れば当選がわかるので問題はないのだが、私にもスロッターとしての意地がある。今度こそは、今度こそは。

13枚役入賞。
13枚役入賞。
13枚役入賞。

くそっ、くそっ。

しかし打ち初めて1時間程度が経過した頃、ようやく…


ステルスボーナスを確認。よし、もう満足だ。もう、ヤメるか。いやいや、まだナマステモードを引いていない。まだヤメるわけにはいかない。


その後、さらに30分程度が経過した時、レバーON時に違和感が発生した。いつもの予告音ではなく「レディーゴー」のボイス。


そして光り輝く「連打インド人ランプ」。BETボタンを押すと「バチバチ!」と男性の声が響き渡り…


リール右のマハラジャランプ(?)が点滅。うむ、初見でもわかるぞ。このマハラジャランプが点灯すればボーナス確定だな。

祈りを込めてバチバチ、バチバチ。バチバチ、バチバチ、バチバチ、バチバチ。

「バチバチ」ってインドと何か関係があるのか? マハラジャとは何か関係があるのか? …そんなことを考えながらボタンを連打、そしてバチバチ、バチバチ。

きっと何も関係ないのだろうな、と自分の中で答えを出したところで、マハラジャランプは消灯。

うむ、初見でも判るぞ。ボーナス非当選だ。


打ち始めて2時間ほど経過。私は完全に飽きていた。当初はガッツリ打つ予定だったが、正直もうヤメたいという気分でいっぱいいっぱい。正直、つまらない。正直、この機種に伸びしろは感じられない。もはや味のしないガムだ。絶対にスルメじゃない。

それでも私は打ち続けた。意地で打ち続けた。ナマステモードに突入するまではヤメられない。せめて、あの「バチバチっとボタン連打演出」でボーナスに当選するまではヤメられない。

気付いたら、今日の目標は思い切り下がっていた。

——つづく