元日の開店直後にお札の交換で神社の神主と巫女さんやってきたが、その正体は……!?

シリーズ名
現役ホールマネージャーだけど、なんか聞きたいことある? (毎週日曜日更新)
話数
第92回
著者
アタマキタ
前回まではコーチ屋と言われる詐欺師の話だったが、これに似たような詐欺も今まで何度か経験したことがある。

パチンコホールの人員体制がシフト制になっており、従業員の入れ替わりが多かったり、チェーン展開しているホールなどは店舗に代表者がいないこともあるため、詐欺師はそこを狙って来るのだ。

まずは被害が大きく、ほとんどのホールの人間が騙された事例から紹介しよう。



●パチンコ台の部品が代引きで届く

実際にパチンコ台の部品を注文すると、メーカーによっては代引きで部品を送ってくることもあるのだが、この詐欺は頼んでもいない部品が届く。

メーカーの枠の共通部分(遊技盤面ではない部分)の部品が届き、さらに受け取った人間が事務員だったりすると、なにがなんだか分からず、うっかりと支払いをして受け取ってしまうのだ。支払い金額も2万円弱といったところなので、払えない金額ではないところがミソ。

受け取った部品はホールスタッフに渡され、誰が発注したかスタッフ捜しが始まるのだが、関わるスタッフが多いほどなかなか見つからず、最終的に詐欺だと分かるまでに時間がかかってしまうのだ。

おまけに段ボールを開封すると、一応そのメーカーの部品が入っているので、本当に分かりにくい。おそらくネットでその店の設置機種を調べ、そのメーカーの部品などを廃棄屋などから安く買い上げて送っていたと思われる。

これは結構な店が被害に遭ったとされる詐欺行為であった。



●経営者宛に「パチンコ経営白書」なる本が代引きで届く

こちらも各店舗の経営者宛に代引きで送ってくる手口だ。

発注者の欄には経営者の名前が書いてあり、本のタイトルからして、いかにも本人が注文したと受け取った者は感じてしまうものだろう。

開封すると訳の分からんバインダーみたいなものに、どっかのサイトの画面をプリントしたような紙が数十ページに渡り挟まっている。この詐欺商品は、代引きで3万円程度の品物だった。

この詐欺のポイントは、経営者の名前がフルネームで書いてあることで、名前があることで受け取った相手が信用してしまうところだろう。

ちなみにパチンコホールの経営者の名前は、同一の都道府県内の組合に加盟しているホールであれば、毎年組合員名簿が配布されているので、容易に知ることはできるだろう。




次にちょっと手の込んだ詐欺で、これは実際に俺が立ち会ったやつだ。


●神社の神主と巫女さんが、お札を届けにやってくる

元日の開店直後に、男性は狩衣に烏帽子、女性は巫女装束といった格好でホールの入口に立っており、現場のスタッフから「店長に御用がある方が来ている」と言われ、入口に向かった。

行ってみると、2人は神社で見かけるそのものの格好で、笑顔で新年の挨拶をしたかと思うと、女性が手元の風呂敷のようなものから天照大御神の大きな札を取り出した。すると男性が「毎年交換して頂いているお札を、オーナー様のご指示により、今年も交換に来ました」と言うのだ。

そう言われお札をよく見たが、お札は偽物とは思えない。しかし、どう見ても笑顔が胡散臭すぎる(笑)。

俺はいったん間を空けよう思い、2人には「オーナーは2階にいるので、説明してくる」と言い残し、その場を立ち去った。もちろんオーナーは2階にはいないのだが。

そしてオーナーの携帯を鳴らしたのだが、元日の朝ということもあり、電話に出る様子がない…。「困ったものだ…」と思いながら2階から2人の様子を見ていると、いきなり2人は駅の方面に走っていった。そして待ち合わせていたと思われる車に乗り込むと、あっという間に目の前から消えていった。

なにがなんだか…といった感じだったが、結局「そんな札は知らん!!」というオーナーのひと言で、詐欺だったということが分かったのだ。



●社長から「今すぐ300万持ってきてくれ」と言われる

これはギリギリのタイミングで難を逃れた詐欺なのだが、下手すれば金を騙し取られていたという話だ。

この日、俺はたまたま休みを取っていて、携帯も持たずに朝からパチンコを打っていた。

夕方頃、社長の友達という人物から店に電話が入り、俺を電話口に出せと言われたらしい。主任が店長は本日お休みであるという旨を伝えると、主任に対して相手は話をしだした。

「今お宅の社長と一緒に、○○駅近くの裏カジノにいるのだが、負けが込んできていて、社長が店に電話して300万円ほど用意させろと言っているんだ。あとから社長に電話をさせるから、お金を用意しておいてくれ」と。

その後、すぐに社長らしき人物から店に連絡があり、「悪いけど釣銭から万札300枚を紙袋に入れて持ってきてくれ」と言われたらしい。電話の声や喋り口調はまさに社長そのもので、疑う余地はあまりなかったという。

待ち合わせ場所には「ナイキのジャージの者が行く」と言われた主任は、300万円を入れた紙袋を用意した。そして、社長に大至急と言われたこともあり、焦ってはいたが、色々と気になっていたことがあったらしく、俺の携帯に連絡を入れつつ、主任は指定の駅の待ち合わせ場所に向かった。

そして主任がちょうど待ち合わせ場所に着いたときに、俺は自宅に帰ってきた。家に置きっぱなしだった携帯を見ると主任からの着信が。すぐに主任に折り返しの電話をすると、この話が出てきた。

主任から今までの話をひと通り聞き、「もしこれが本当に社長の指示であったとしても、許されることではない」と判断し、俺は主任に「その紙袋を持ったまますぐにタクシーに飛び乗れ」と指示を出した。

それを聞いた主任は俺の指示に従い、慌てて走り出したのだが、走っている主任を5〜6人の男が一斉に追っかけてきたらしい。そのなかには例のナイキのジャージの男もいたという。

そして主任は運良くタクシーにすぐに乗れ、店まで戻って来たのだが、その間に俺が社長に電話してこのことを確認すると「俺はそんなの知らん」とあっさり言われ、詐欺だということが分かったのだ。俺が電話に出ていないので判断は難しいが、社長の声や口調を真似して電話してくる周到な手口であった。

今回はタッチの差で危険を回避できたが、その場にいた相手の人数からすると、主任が危ない目に遭っていたかもしれない…。そう思うと震えが止まらなかった。



今回紹介したものはごく一部の話で、小さいことも含めればこのような詐欺行為はまだまだある。パチンコ店に限らず、このコラムを読んで頂いている方々もこういった詐欺に遭うかもしれないので、十分に注意して頂きたいと思う。



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