俺は落としたコインは1枚でも普通に拾う。なぜなら俺は獲れる1枚役は全部獲りに行く1枚役ハンターだからだ!

シリーズ名
試みの高低線 —嵐のハードボイルド人生相談— (毎週水曜日更新)
話数
第8回
著者
編集メガネ(以下、メ) 「今週も始まりました、自称ハードボイルド(実際はハードM)の嵐さんが、ハードボイルド作家『粗方嵐蔵』に扮して皆さまのお悩みにお答えする人生相談型コラム。今回も大いにハードボイルド風に答えて頂きまっせ〜」



■PN『ア●メ将軍』さんからのご相談

先生!! 足下に落としたたった1枚のメダルのハードボイルドな拾い方を教えて下さい。


■粗方先生のお答え

来る者拒まず去る者追わず。

ハードボイルドを地で行きたいなら、自分と袂を分けたコインに未練を残すな。

大盤振る舞いする気持ちで、ホールにでも周りの客にでもくれてやれ。

…ただ、落としたコインが2枚以上なら話は別だ。男には、張っていい見栄と張らなくていい見栄がある。

1枚役なら取りこぼしてもいいが、角チェリー(2枚役)は取りこぼしてはならないのと道理は同じだ。

だから小僧、とりあえず落としたコインが2枚以上なら迷わず拾え。

もし、お前がどうしてもスマートに拾うことにこだわるのなら、人差し指と中指を立ててつまむように拾いにいき、拾いあげたらおでこの近くまで持ってきてから、少し前に出してみろ。

イメージは鏡の「グナ〜イ☆」だ。

そうすれば、見た目的にはちょっとだけハードボイルド風になるだろう。

なお、最後に蛇足を加えておくが、俺は落としたコインは1枚でも普通に拾う。

なぜなら俺はハードボイルドであるよりも前に、獲れる1枚役は全部獲りに行く1枚役ハンターだから、な。



■PN『クランキー』さんからのご相談

毎月小遣い2万です! 打ちにいきたいけど負けたら絶望!

まずは何から打てば良いですか? 地道に5スロで増やしてからの20スロが無難ですかね?


■粗方先生のお答え

わらしべ長者のように5スロから初めて少しずつ持ちコインを増やし、ある程度まで貯まったら20スロにオールイン。

その策は確かに深謀遠慮であり、いまのお前が置かれた状況下では有効な立ち回りの一つだと思う。

…ただ、お前が足を運んでいるホールによっては、その良策がただの机上の空論に成りかねない懸念がある。

お前の通っているホールの5スロには高設定が使われているのか?

問題はそこだ。

たしかに5スロなら、少ない軍資金でも充分に勝負は打てるだろう。

ただ、そこに低設定しか存在しないのならば、勝負をしているつもりが一方的に真綿で首を絞められるだけとなる。時間ばかりを浪費して、気付けば軍資金も大幅に目減りしていた…という雪隠詰め(せっちんづめ)な状況に追い込まれかねない。

ならばここは、1度大きく目線を変えてみるのはどうだろうか?

お前がいま悩み苦しんでいるのは、ひとえに軍資金の枯渇が原因。ならばここは、まず軍資金を増やす努力をしてみるのはどうだろうか。

いまは回胴に勤しむのではなく、お前の家宰を取り仕切る宰相…つまりは奥方のご機嫌取りに勤しんでみることを俺はオススメしたい。

なんなら2万円を回胴で負けたつもりで、奥方へのプレゼント資金にぶち込んでみる。

それで首尾良く機嫌が上々になったらしめたもの。機を見るに敏となり、すぐさま新たな予算案を提出するのだ。

なお、もちろん本当の使い道を伝える必要はない。

「…あの〜、このままだと外交(職場内での交遊)もままならないので、接待交際費を1万円ほど上げて頂けませんか?」

とでも言っておけ。

嘘も方便…は、いつの時代も交渉における常套手段だ。人は上機嫌になれば気持ちも顔も、そして財布の紐もゆるくなるもの。

その隙を突いてくだんの予算案が通ることになれば、たかが1万、されど1万。お前の立ち回りは無限の広がりを見せることになるだろう。

いまある手駒でなんとかしようとするのも一つの手だが、その手駒を使って、そもそもの手駒の数を増やそうとするのもまた、深謀遠慮。

だから小僧、とりあえずまずは急がば回れ。奥方の機嫌を取って、軍資金増強を試みろ。



■PN『穀潰し』さんからのご相談

会社の先輩がオカルト全開なんです。

21時からのパチンコに誘われ、断ると「分かってないなー」と全否定。この先輩と上手に付き合うのにはどうしたら良いでしょうか?


■粗方先生のお答え

このようなケースは「パワハラ」と言ってもいいのだろうな。

だが、会社組織にはまだまだ古い時代の風習が根付いていることも多く、後進が「パワハラだ」などとはとても言っていられないのだろう。

それにもし、お前がいまの仕事を生涯の伴侶としたいほどに愛しているのならば、パワハラなんぞと戦っている暇はないに違いない。

そんなことに注力するくらいなら、乾坤一擲のプレゼンを成功させたり、巨額の取引を成立させることに身を粉にしたいことだろう。

ならばここは、努めていなすのが吉だ。

もし、連れ打ちの時に並び打ちを強要されないのであれば、先輩の目を盗んで極力打たないようにすればいい。もしくは2スロや1パチなど、低貸しコーナーで出来るだけ懐を痛めずに時間を費やすのもありだろう。

対して、面倒なのは並び打ちを強要してくるパターンだ。

この場合は、まず、そのしがらみを打破することから始めてみるしかないだろう。

そうだな…俺なら、その先輩がオカルト全開ということなので、オカルトの角度から糸口を模索してみる。

「並び打ちは運気を下げるらしいですよ?」

こんなベタなネタから

「シマ相対性理論というのがあるらしく、シマで出る台の数って予め決まっているんですって。だから連れ打ちする時は、なるべく別のシマで打ったほうがいいらしいですよ? スロプロはみんなそのことを意識して立ち回ってるみたいです」

なんてバカルトで離反を促してみたり

「コインの自動補給システムって、コインを通すパイプがそんなに大きくないらしく、1度に補給できる量に上限があるらしいんです。だから、その上限に到達しないように、シマごとに出玉の量をコントロールしてるんですって。だから、並びで台が噴いてるとこってほとんど見掛けないじゃないですか? だから連れ打ちするときは、極力離れた台を打ったほうがお互いの勝率がアップするし、お前は出た、俺は出ない…で不満が溜まったり喧嘩したりすることも少なくなるって、嵐ってパチスロライターが言ってました」

なんて言う、根拠もへったくれもないけど一理ありそうな与太話をあることないこと吹き込んでみる。

それでその先輩が

「へぇ〜、そうなんだ。じゃあ今度からは俺たちも離れて打とうぜ」

なんて言い出したらしめたもの。あとは前述した通りに、出来るだけ懐を痛めずに接待回胴の時間をやり過ごせば、負債もストレスも溜めずに済むし、先輩との関係も円滑でいられるだろう。

だから小僧、とりあえず先輩にあることないこと吹き込め。

道理の通じない相手に理を説いても詮なきこと。逆に理外の言葉で応酬し、相手の自覚なきパワハラをいなしきれ。



■PN『紅の豚猪』さんからのご相談

パチスロのみで生活しはじめて、気づけば6年。来年で30歳になります。そこそこ稼げているんですが…就職すべきですよね。

踏ん切りをつける一言をもらえませんか?


■粗方先生のお答え

将来に不安を感じて回胴生活に見切りをつける。

素晴らしい決断だと思う。潔い引き際だと思う。しかもそこそこ稼げている状況での決断なら、なおさらだ。

ただ、その先にある道を「就職」一本槍に定めているのであれば、そこに関しては一抹の不安を覚えずにはいられないのが、正直なところだ。

お前は本当に就職がしたいのか?

就職したいと思っている職業は、お前が本当にやりたいことなのか?

もし、この問いに自信を持って首を縦に振れないのであれば、俺はあえてこの素晴らしき決断に少しだけ待ったをかけたい。

なぜならお前は、好きなことで口に糊ができることを知っているうえに、その糊の味が美味であることも知ってしまっているからだ。

もしお前が、ただ将来への不安を解消するために、好きでもない仕事に就こうとしているのなら、おそらく辞めたほうがいい。

好きでもないもので口にする糊の味は、好きな糊の味には遠く及ばない。それでも最初は生活のため、腹を満たすために我慢は出来るだろう。…だが、いずれ嫌になる。そんな時に思い出すのは、6年間も体が覚え続けた甘美な糊の味。

そしてその糊は、よっぽど回胴の状況が劣化しない限り、すぐに手に入れることが出来る。…そうなれば、過去の糊の味を求める衝動は抗いがたい。ふとしたキッカケでまた回胴生活に戻ってしまう可能性は、決して低くはないことが容易に想像できるだろう。

だから小僧、もし好きで就職したいわけではないのなら、とりあえず焦るな。

いまは回胴で口に糊をしながら、まずはそれに代わり得る糊を探せ。

やりたいことが見つかるまでは、自由に身動きが取れるこの生活を続けたっていいじゃないか。

勉強したいことが見つかれば、この生活をしながら学費だって貯められる。

飲食店をやりたいと思ったら、開店資金だって貯められる。お前のプロとしてのスタイルにもよるが、昼間は回胴で稼ぎ、夜は飲食店に勤めて修業をする…という兼業も不可能ではないかもしれない。

そういう、あらゆる方向性を模索してから、見切りをつけてもいいのではないだろうか。

回胴生活者の最大の強みは「自由」であることだ。続けるも自由。ヤメるも自由。だったらその強みをいまこそ最大限に活かし、将来をしっかりと見据えてから見切りをつけても、決して遅くはあるまい。

なにはともあれ、俺はお前の決断に心から称賛を送りたい。

だからこそ、老婆心ながら警鐘も鳴らさせてもらった。

好きなもので口に糊をする…その味を知ってしまった、同じ者同士として。



「好きなことで口に糊をしている俺たちは…やっぱりもう普通の仕事には就けへんのかな?」

「働くことが好き…というパターンもあるので一概には言えないと思いますが、好きじゃない仕事を続ける堪え性が弱っているのは間違いないでしょうね」

「せやろなあ…。じゃあ、堪え性を取り戻すリハビリもかねて、明日からはあんまり好きじゃない機種も打つことにするわ」

「そもそもパチスロが好きなんだから、それじゃあリハビリにならないでしょうが(苦笑)」





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