営業中にゴトのやり方を『実演』したところ、出たコインを「ぜひ交換してくれ」と言われたのでキッパリ断ったが……

シリーズ名
現役ホールマネージャーだけど、なんか聞きたいことある? (毎週日曜日更新)
話数
第87回
著者
アタマキタ
今回は大分昔の話を取り上げていくが、質問を見ていて思い出したことがあったので、それについて書いていこうと思う。



【エテ公さんの質問】
なんなんですか! アタマキタさんの話は面白すぎます! ゴトを語るなら…コンチ4Xの4枚飲ませや獣王や猫de小判等のコピー打法(真偽不明?)、吉宗時代の体感機等の話を聞きたいですわ〜。



【回答】
これまでゴト師やゴト行為とは奮闘してきたが、エテ公さんが書かれているものはそれぞれに色々なことがあったよ。ただ、コンチについては「4X」ではなく、初代か3のことだろう。ちなみに、コンチ4は初代ミリオンゴッドを上回るほどの爆裂性能を持った爆裂AT機だな。


まずはコンチについて。自店での設置はなかったのだが、プロ時代の仲間にゴト師がいたということもあり、ボーナスを強制的に成立させるという4枚がけのやり方だけは聞いていた。当たり前だが、やり方を知っているからといってゴトをしようとは思わないぞ(笑)。

ただ…このことに関しては、自分にまつわるちょっと申し訳ないエピソードがあるのだ。今回はそのことについて自戒を込めて書いてみようと思う。あれは確か、友人が主任として働いている店の新装開店を見に行った日だったと思う。


その店にはよく遊びに行っていたのだが、もし新台が空いていたらちょっと触ってみようかと思いパチスロコーナーを徘徊していた。そしてコンチ3のコーナーに近付くと、2人組の男性だけが遠目から見ても目立つくらいコインを出している…。その2人はワイワイやりながら出しているというわけではなく、"いかにも"な怪しい雰囲気を醸し出していたこともあり、俺は瞬間的にゴト行為を疑ったのだ。

そこで俺は、自分がいつもゴト師を発見するときに試していることをふっかけてみることに。これは非常に簡単な方法なのだが、敵を浮き彫りにする効果は高いと思っている。

まずは何気なく通路を歩いていくのだが、怪しげな人間の背後で足を止めるなり体の向きを45度ほど相手側に向ける。その後は体を戻してシマの端まで振り返らずに歩き切り、島端に着いた瞬間に振り返るというものだ。

これまでの経験では、たいていは突然自分の後ろに人間が立ち止まると、何かと思って後ろを振り返ったり、もしくは遊技に集中していてそもそも気付かない。しかしゴト師の場合はちょっと違う。振り返らずに台の反射面(プラスチックやガラスなど)を利用して、自分達の気配を消しつつ相手の様子を窺おうとするのだ。


この2人組はどんな反応を返してくるだろう? とまずは背後で体の向きを変えると、案の定2人とも台の反射を利用してこちらの様子を窺っており、バッチリと目が合った。それを確認するなり歩を進め、シマの端でクルっと振り返ると、まんまと2人ともども俺の動向を見ていた。ゴト師の場合はほぼほぼこういった反応をする。

ちなみに、みなさんもこういう反応を示すことはあるだろう。だからといって皆さんのことをゴト師と疑うわけではない。つまり上述の反応で即ゴト師確定ということではなく、他の疑わしい状況に加えてこのような挙動まで重なってくると、いよいよゴト師の可能性が高まるということだ。


客を装うために2人組と少し離れた別のコンチ3の下皿にコーヒーを置いて台を確保し、すかさず主任である友人を探してホール内を急いで歩き回った。すると程なくホールの隅っこでホッパーか何かを分解して修理している主任を発見したので、2人組に見られていないかを確認した後、友人に小声で告げる。

「コンチの○番台と○番台にゴト師がいる」

突然こんなことを言われたらびっくりすると思うだろうが、パチンコ店の責任者同士ではこの手のことは"あるある"話である。

主任は顔色一つ変えずさっと立ち上がり、当該機種に向けて小走りで動き出した…のだが、既にコンチのシマに2人組の姿はなかった。敵もバカではないようで、危険を察知してすぐにコインを交換しようとしたのだ。

すかさず主任は踵を返してジェットカウンターにダッシュすると、まんまとコインを流している2人を発見。そこで話をつけ、最終的に出玉を無効にしてそのまま帰らせたようだ。半ば2人組が犯罪を認めているようなものだから警察に突きだせばよいと思う人もいるだろうが、この手のゴトは道具がないため色々と面倒だったりする。となると、これくらいの対応が妥当なのだろう。

俺は先ほど確保したコンチを打っていたのだが、そこに一仕事を終えた主任が戻ってきた。

「俺は4枚がけなんかやらないよっ!」

そう冗談めかして先制パンチをお見舞いしたのだが、主任はポカンとした表情で首をひねっている。予想外の反応がだったので「どうしたの?」と聞いてみると、ゴトのやり方はもちろん4枚がけのことも知らなかったのだ。そこで主任から目の前で見せて欲しいと頼まれたのだが、さすがに営業中はマズいだろうと思い、「じゃあ閉店後にまた来るよ!」と伝える。しかし主任は、「いま店長がいるからこの場で見せたい」と言うのだ。

友人でもあるし、また同業のよしみということで、俺は仕方なく"実演"することにし、ゴト師から教えてもらった手順でレバーを叩いてから4枚目のメダルを投入した。さすがに俺はプロではないのですぐには成功しなかったが、ほどなくしてリーチ目が出現。そしてちょうどその時店長がやってきた。

店長は先ほどのゴト師の件でお礼を述べて深々と頭を下げると、やはり自分の目でも見ておきたいということで、再度実演して欲しいということだった。仕方なく俺はボーナス消化後に再び4枚がけ打法を実践し、さらにそれを何度か繰り返した。


打ち始めて20分くらい経った頃だろう。店長も主任もやり方を分かったようで、すっかり満足した様子。俺は打つのをヤメてコインを主任に渡して帰ろうとしたのだが、隣で見ていた店長が今日のお礼ということで、「ぜひ交換してくれ」と言うのだ。

いやいやいやいや、さすがにそれはないだろう(苦笑)。ゴト師を通報した俺が同じことをやって出したコインを交換するなんて笑い話にもならない。俺はキッパリと断ったのだが、それ以上に店長も頑固で譲る気配がない。最後には両者に挟まれて困った主任までもが持っていけという始末で…。

結局2人の圧に押され、ひとまずその場を収める形でコインを流したのだが、さすがにそれを懐に入れるのは忍びない。結局、そのお金で店長・主任などみんなを誘って飲みに行くことになったという、どうしようもないエピソードである。


後にも先にもこんなことはないのだが、もちろん、今だったら絶対に断るだろう。若かりし頃の俺のどうしようもない話でした。その他のゴトについてはまた次回以降ということで。

それではまた来週!



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