高設定と思わしきハピジャグVIIで約2000枚を全ノマレ!ハピジャグVIIなんて嫌いだ!……が、また好きになる
- シリーズ名
- 町民プールで鮪釣り (毎週火曜日更新)
- 話数
- 第86回
- 著者
- ラッシー
「くっそぉ…なんなんだよ」
ドル箱にメダルを詰めながら独りごちた。
一掴み、一掴み、湧いてくる感情を噛みしめながら、丁寧に詰める。コイツはいつもそうだ。これまで何度嫌いになっただろう。
もう別れよう。絶交だ。何度もそう思った。だが——
編集部での仕事を終え最寄り駅に着くと、時刻は既に20時を回っていた。真っ当なパパなら真っ直ぐ帰宅するところだが、あいにく俺はそうではない。駅前のホールに吸い込まれたのは、ごくごく自然な流れだった。
こんな時代だからやむを得ないが、この某ホールはしばらく迷走を続けている。週単位でせわしなく5スロと20スロの位置を入れ替えてみたり、ノーマルタイプのシマを作ったと思えば、スグにバラエティコーナーにしちゃったり…。そのシマの移動や内装の変更をイベントのように使っているのだろう。とても成功している風には見えないが…。
閉店までの残り時間を考えると、さすがにAT・ART機は打ちにくい。パチンコの甘やハネモノか、パチスロのノーマルタイプが理想だろう。もしくは取り切れずヤメでも納得できる5スロあたりか…。
が、あいにく5スロコーナーは満席。パチンコの甘・ハネモノは空いているが、好みの甘海に良さそうな台はない。もう選択肢はノーマルタイプしかない。ひとしきりアクロスの機種を見て回るも、良さそうな台は1台もナイ。仕方ない、帰るか…。
いや、まだ「アレ」が残っている。皆目打ちたくないが…。
ホールの最も奥にあるジャグラーコーナー。この2週間ほど全く足を踏み入れなかった領域だ。ファンキー・マイジャグ3のデータをチェックするも、打てそうな台はない。やはり帰るしか…は、はうあ!!
目に入ったのは総ゲーム数1021GでBIG4回、REG4回のハピジャグVII。ボーナス合算出現率は約1/128だ。稼働ゲーム数が少ないので「たまたま出ただけ」という恐れはあるが…色っぽい。しかし、俺には安易に飛びつけない事情があった。
およそ2週間前——
変判が効くホールで朝イチからハピジャグVIIに着席。ガックンしたのは2台だけで、うち1台は前日優秀台だ。それを下げと予想し、残るもう1台を打ち始めた。すると、低投資でボーナス連打! 13時になるころには約2000枚を獲得し、言わずもがな勝利を確信した。
が、全ノマレ+追加投資の大逆転負けである。俺は、あの日のトラウマを拭い去れずにいた。
ハピジャグVIIを打てば、またあの悲劇を繰り返すかもしれない。もう、ハピジャグVIIは引退しよう。プレミア告知、リールの配列、制御…。その全てが好きだが、もうあんな目に遭うのはたくさんだ! 嫌いだ! 嫌いだ! 嫌いだ!
…が、しかし。
高設定かも知れないジャグラーを無視して帰る。これは女性の「今夜は帰りたくないの」を無視するのと一緒なのではなかろうか。
今より十余年前——(回想多いな)
飲み会が終わり、みんなで駅に向かって歩いていたのだが、駅に着いた頃には1つ年上の先輩と2人きりになっていた。 先輩は可愛い顔に似合わずロックが好きで、立ち居振る舞いはいつもクール。あまり女性らしさを表に出さない人だった。それゆえ見逃したのだ。不意に訪れた絶好球を。
先輩 「帰りたくない」
俺 「え!? 電車なくなりますよ」
先輩 「分かってる。でも帰りたくないの!」
俺 「じゃ、お先失礼しゃーす」
先輩 「エッ?」
そう。俺は可憐な女性を駅に捨てたまま帰ってしまったのである。クゥ〜、なんと情けない! まだ幼かったとはいえ、なぜスマートに自宅へ案内できなかったのか…。
あれから時が経ち、俺も経験を積みました。もうあの頃の俺じゃない! 甘い球は見逃さねえゼ!! サンドへ千円札を投入し、レディーをエスコートするジェントルマンの如く、優しくレバーを叩き始めた。
…おかしい。ブドウ落ちが露骨に悪い。2千円で49G。たかが2千円でブドウ出現率の良し悪しなど分かるハズないのだが、それにしてもヒドすぎる。かの先輩を自宅に連れて帰ったのは良いものの、自宅に着くや否や寝てしまったかのような気分だ。ダマされた!
そう思ったまさにそのとき、2台隣が空き台に。すかさずデータ表示器をチェックすると、総ゲーム数1899GでBIG8回、REG7回。ボーナス合算出現率は約1/127だ。
ボーナス合算出現率はほぼ一緒。だが、なんとなくコッチのほうが「当たり」のような気がする。俺の台より総ゲーム数が多いぶん、若干ながら高設定期待度も高まるハズだ。後先考えずに飛び込む勇気も必要! 移動したれぇ〜い!!
★ 128Gから打ち始め〜 ★
189 BIG (2K)
69 REG (チェリー同時)
7 BIG (先ペカ→直揃え)
142 BIG
_ 72 BIG (生入り)
_ 20 BIG
__ 7 REG
_ 72 REG
143 BIG
176 BIG
ドル箱を手にし、一掴みずつ丁寧にメダルを移す。眼前のハピジャグVIIに対する敬意と感謝。それをメダルとともにドル箱に詰めていく。そう、感謝である!
お前はいつだってそうだったな。厳しく突き放したと思ったら、次は優しく抱きしめる。それを知っていたのに、俺ってば…。「嫌い」とか言ってごめんよ、ハピジャグVII。
263 REG (チェリー同時)
190 BIG
135 REG (チェリー同時)
_ 36 ヤメ(閉店)
総投資4000円。獲得枚数は1165枚。20時過ぎからの実戦にしては、十分すぎる結果といえよう。
何度嫌いになっても、また好きになる。
それがジャグ。
これからも好きと嫌いを繰り返すだろう。
そうやって俺とジャグは付き合っていく。
おそらく俺が、墓に入るまで。
ドル箱にメダルを詰めながら独りごちた。
一掴み、一掴み、湧いてくる感情を噛みしめながら、丁寧に詰める。コイツはいつもそうだ。これまで何度嫌いになっただろう。
もう別れよう。絶交だ。何度もそう思った。だが——
編集部での仕事を終え最寄り駅に着くと、時刻は既に20時を回っていた。真っ当なパパなら真っ直ぐ帰宅するところだが、あいにく俺はそうではない。駅前のホールに吸い込まれたのは、ごくごく自然な流れだった。
こんな時代だからやむを得ないが、この某ホールはしばらく迷走を続けている。週単位でせわしなく5スロと20スロの位置を入れ替えてみたり、ノーマルタイプのシマを作ったと思えば、スグにバラエティコーナーにしちゃったり…。そのシマの移動や内装の変更をイベントのように使っているのだろう。とても成功している風には見えないが…。
閉店までの残り時間を考えると、さすがにAT・ART機は打ちにくい。パチンコの甘やハネモノか、パチスロのノーマルタイプが理想だろう。もしくは取り切れずヤメでも納得できる5スロあたりか…。
が、あいにく5スロコーナーは満席。パチンコの甘・ハネモノは空いているが、好みの甘海に良さそうな台はない。もう選択肢はノーマルタイプしかない。ひとしきりアクロスの機種を見て回るも、良さそうな台は1台もナイ。仕方ない、帰るか…。
いや、まだ「アレ」が残っている。皆目打ちたくないが…。
ホールの最も奥にあるジャグラーコーナー。この2週間ほど全く足を踏み入れなかった領域だ。ファンキー・マイジャグ3のデータをチェックするも、打てそうな台はない。やはり帰るしか…は、はうあ!!
目に入ったのは総ゲーム数1021GでBIG4回、REG4回のハピジャグVII。ボーナス合算出現率は約1/128だ。稼働ゲーム数が少ないので「たまたま出ただけ」という恐れはあるが…色っぽい。しかし、俺には安易に飛びつけない事情があった。
およそ2週間前——
変判が効くホールで朝イチからハピジャグVIIに着席。ガックンしたのは2台だけで、うち1台は前日優秀台だ。それを下げと予想し、残るもう1台を打ち始めた。すると、低投資でボーナス連打! 13時になるころには約2000枚を獲得し、言わずもがな勝利を確信した。
が、全ノマレ+追加投資の大逆転負けである。俺は、あの日のトラウマを拭い去れずにいた。
ハピジャグVIIを打てば、またあの悲劇を繰り返すかもしれない。もう、ハピジャグVIIは引退しよう。プレミア告知、リールの配列、制御…。その全てが好きだが、もうあんな目に遭うのはたくさんだ! 嫌いだ! 嫌いだ! 嫌いだ!
…が、しかし。
高設定かも知れないジャグラーを無視して帰る。これは女性の「今夜は帰りたくないの」を無視するのと一緒なのではなかろうか。
今より十余年前——(回想多いな)
飲み会が終わり、みんなで駅に向かって歩いていたのだが、駅に着いた頃には1つ年上の先輩と2人きりになっていた。 先輩は可愛い顔に似合わずロックが好きで、立ち居振る舞いはいつもクール。あまり女性らしさを表に出さない人だった。それゆえ見逃したのだ。不意に訪れた絶好球を。
先輩 「帰りたくない」
俺 「え!? 電車なくなりますよ」
先輩 「分かってる。でも帰りたくないの!」
俺 「じゃ、お先失礼しゃーす」
先輩 「エッ?」
そう。俺は可憐な女性を駅に捨てたまま帰ってしまったのである。クゥ〜、なんと情けない! まだ幼かったとはいえ、なぜスマートに自宅へ案内できなかったのか…。
あれから時が経ち、俺も経験を積みました。もうあの頃の俺じゃない! 甘い球は見逃さねえゼ!! サンドへ千円札を投入し、レディーをエスコートするジェントルマンの如く、優しくレバーを叩き始めた。
…おかしい。ブドウ落ちが露骨に悪い。2千円で49G。たかが2千円でブドウ出現率の良し悪しなど分かるハズないのだが、それにしてもヒドすぎる。かの先輩を自宅に連れて帰ったのは良いものの、自宅に着くや否や寝てしまったかのような気分だ。ダマされた!
そう思ったまさにそのとき、2台隣が空き台に。すかさずデータ表示器をチェックすると、総ゲーム数1899GでBIG8回、REG7回。ボーナス合算出現率は約1/127だ。
ボーナス合算出現率はほぼ一緒。だが、なんとなくコッチのほうが「当たり」のような気がする。俺の台より総ゲーム数が多いぶん、若干ながら高設定期待度も高まるハズだ。後先考えずに飛び込む勇気も必要! 移動したれぇ〜い!!
★ 128Gから打ち始め〜 ★
189 BIG (2K)

69 REG (チェリー同時)

7 BIG (先ペカ→直揃え)

142 BIG
_ 72 BIG (生入り)
_ 20 BIG
__ 7 REG
_ 72 REG
143 BIG
176 BIG
ドル箱を手にし、一掴みずつ丁寧にメダルを移す。眼前のハピジャグVIIに対する敬意と感謝。それをメダルとともにドル箱に詰めていく。そう、感謝である!
お前はいつだってそうだったな。厳しく突き放したと思ったら、次は優しく抱きしめる。それを知っていたのに、俺ってば…。「嫌い」とか言ってごめんよ、ハピジャグVII。
263 REG (チェリー同時)

190 BIG
135 REG (チェリー同時)
_ 36 ヤメ(閉店)
総投資4000円。獲得枚数は1165枚。20時過ぎからの実戦にしては、十分すぎる結果といえよう。
何度嫌いになっても、また好きになる。
それがジャグ。
これからも好きと嫌いを繰り返すだろう。
そうやって俺とジャグは付き合っていく。
おそらく俺が、墓に入るまで。