【タイムクロス2】フリーズも引いて好調だったが本命台が空き台に!すかさず台を確保しようとしたら……

シリーズ名
町民プールで鮪釣り (毎週火曜日更新)
話数
第82回
著者
ラッシー
俺はその日まで忘れていた。
ホールが「サバンナ」であることを——。


その日は町民プールの旧特定日だった。入場抽選で早い番号が取れたらクレア2、遅い番号ならタイムクロス2。どちらにも狙い台はある。抽選結果は93番。かくしてタイムクロス2を打つことに。

タイムクロス2を狙う理由は2つある。

[1] 単純に好きだから
[2] フル攻略なら甘い

フル攻略時の機械割は設定2から100%を超え、設定1でも99.1%となかなか優秀。高設定を使ってくれるホールが少ないのはネックだが、町民プールは他店と少し違う。さすがに鮪(設定6)は使ってないと思われるが、中間設定なら使ってそうな雰囲気だ。ましてや旧特定日ならば。終日楽しませてくれるなら、勝ち額なんて少なくても構わない。


いざ開店——。

タイムクロス2の設置は2台のみで、右側が狙い台だ。ライバルなんているわけない。みな朝イチは「初代まどか☆マギカ」や「バジ絆」、「押忍!番長3」に走るハズだ。…が!!

本命台が取られてるぅぅぅ!

しかも"彼氏にムリヤリ連れて来られて、暇つぶしで打ってます"みたいな女性が座ってる。台間POPやスマホを見ているので、おそらく初打ちなのだろう。そうだね、なんとなく台の見た目がカワイイもんね。そら女子が暇つぶしで打つならアクロス系よりタイムクロス2でしょ。

結局、本命ではない左側の台に着席。まあいい。隣の女性は、おそらく長くは打たないだろう。空いたら移動するまでだ。それまでこの台で大負けしなきゃいいが…エッ!?


朝イチ21Gでチャンス目からウィンBIG! 高設定ほど当選しやすいウィンBIGが、こんなに早く当たるとは!!

イカンイカン。ここはクールに"狙い台だから当然です"みたいな顔して、隣の女性にプレッシャーを与えねば。「隣の台が高設定っぽいから私の台はナイ→ヤメよう」っていう思考になるハズ。


249  赤7BIG (追加1K)

おいお〜い、高設定じゃないのがバレるじゃねーか! しかも俺が250Gハマってる間に、隣の女性はBIG2回・REG1回。初打ちでも粘っちゃうパターンじゃん! ぐぬぬ、93番なんていう抽選番号さえ引かなければ。このままズルズル負けてしまうのか…


エッ…なにコレ?



フリーズじゃん!!

タイムクロス2にフリーズなんてあったの? 初めて見たんですが!



11  赤7BIG (強スイカ同時当選)

良いパターンを拝めた。これは隣の女性にも相当なプレッシャーを与えたハズ!?



へ〜、フリーズBIG中は歴代タイムシリーズの紹介画面が流れるんだね。ちなみに、BIG終了画面の「GET」の文字がカタカナだったので、高設定期待度も若干アップ。これ以降、少しだけ調子が上向いて…



151  ウィンBIG



39  赤7BIG

またもやウィンBIGとカタカナ終了画面を確認!

これ…マジで高設定もあるんじゃない!? ちなみに本命台は…俺を上回る勢いで当たりまくっている。くぅ〜、ぐやじい!!



436  ウィンBIG

ダメだ。追加投資はナイものの、またハマってしまった。ちなみに左→中リールを止めた時点で2確ね。準完全告知ステージの弱スイカ・強スイカA・チャンス目は同時当選確定。左リールにウィン・スイカ・ウィンを狙っていると、右上がりスイカテンパイは弱スイカ濃厚なので(右上がりスイカテンパイハズレでリプレイ同時当選)。


その後は…

180  赤REG
_ 87  赤7BIG
_ 59  赤7BIG

待望のボーナス連打! そして3度目のカタカナ終了画面を確認!

たまに大きなハマリもあるけど、やはり高設定の可能性は否定できない。設定差のある小役出現率は…弱チェリーが設定1未満、強スイカBは設定6以上。う〜ん、絶対にナイとは言い切れないかな!?


そんな風に悩んでいると、密かに中ハマリを喰らっていた本命台が空き台に!

ボーナス合算出現率は本命台がわずかにリード。さて、どうしたものか。自分の台には「設定看破要素が悪くない」という実績がある。一方、当然ではあるが本命台は分からない…。いや、やはり移動すべきだ。ホールのクセからはじき出した本命台はアッチなのだから。移動だっ!!

本命台の下皿にスマホを投げ入れた、そのときだった——。


おばあちゃん 「あの〜その台打つんかい?」

「へっ?」

おばあちゃん 「その台、打ちたいんだけど…」


ウチの母親より10歳は上だろう。70代後半といったところか。小脇にサラ盛りのドル箱を抱えている。


おばあちゃん 「お兄ちゃん、お願いだよ〜」


せっかく空いた本命台を逃したくはナイ。だが、70代後半のおばあちゃんに懇願されているのである。その表情から「タイムなんちゃら打ちたいよぅ〜、赤ん坊見たいよぅ〜」という純粋な気持ちが伝わってくる。

そもそも70代後半のお年寄りから懇願されるシチュエーションなんてあるか? 俺は間違いなく人生初。懇願され慣れていない。その慈悲を求めるような顔に、俺はたじろいだ。

おばあちゃんが長時間粘るとは思い難い。おそらくあのサラ盛りのコインがノマれたらヤメるだろう。さらにいえば俺の台だって悪くナイ。なによりあんな顔で懇願されたら、譲らないわけにいかないじゃないか。


「…どうぞ」

おばあちゃん 「おおお、ありがとう!」

「いえ、いいんです」

おばあちゃん 「おーい、息子ー! 取れたぞー!!」

息子 「母さん、やったな!」

「は? ちょ、ちょ、ちょ、ちょ!!」


不覚! おばあちゃんの立ち回りを指揮するブレーン「息子さん」が存在していたとは!!

いや、慌てるな俺。息子さんが打っているのを待っている間、ノーマルタイプで暇をつぶしたいだけかもしれない。おばあちゃんの持ちコインは推定200枚未満。ノーボーナスなら20分でなくなるハズだ。息子さんは遠くで某ART機を打っている。問題はナイ。問題はナイ。


落ち着いて自分の台に戻り実戦再開。

ほどなくして、おばあちゃんの持ちコインは残り50枚ほどに。いくら高設定だとしても、やはり200枚未満では…

ティロン…テレッテテレッテレ〜♪

おばあちゃんの台からボーナス確定音が。息子が遠くから駆けて来て、ボーナスを揃えてあげる。赤7BIGだった。

俺(う…うむ。まあ1発くらいはね)

ティロン…テレッテテレッテレ〜♪
ティロン…テレッテテレッテレ〜♪
ティロン…テレッテテレッテレ〜♪

おばあちゃ〜〜〜ん! 当たりすぎぃぃぃ!! あっという間にドル箱に手を伸ばすおばあちゃん。一方、俺はというと…


421  青REG

まあまあハマってREG。く…苦しい。

ティロン…テレッテテレッテレ〜♪
ティロン…テレッテテレッテレ〜♪
ティロン…テレッテテレッテレ〜♪

おばあちゃんの勢いは止まらない。対して俺は…

REG後も300Gハマって全ノマレ。さらに1Kを追加したところで我に返った。認めざるを得ない。やはり本命台が当たりで、俺の台は低設定なのだ。諦めよう。そっと席を立ち、店内を一周してタイムクロス2の本命台を見てみると…おばあちゃんから息子さんに代わってるぅぅぅ! おばあちゃん疲れちゃったのかな?

閉店前に再び様子を見に行ったら、タイムクロス2をフルウエイトでブン回す息子さんと、それを笑顔で見守るおばあちゃんの姿が。うん、仲が良い親子ってのは良いモンですね。


いや、待てよ。俺はお年寄りに台を譲ることで「優しい自分」になりたかったのではなかろうか。もしあそこで譲らず打っていたら、この日は負けずに済んだハズ。ついつい優しい自分に酔って、甘い判断をしてしまった。


人としては正解かもしれない。
でも立ち回りとしては不正解。


開店前から狙っていた本命台なのだから、安易に手放すべきではなかった。ついついおばあちゃんの懇願する顔に負け、甘い判断をしてしまった。これは俺のミス。修羅になってでも勝つことを追求しなかった俺のミスだ。

ホントは笑って譲れるくらいになりたいけどね。もう俺もいい年だし。また、これがハナビやバジ絆みたいに多く設置してある機種であれば、ここまで記憶に残らなかったかもしれない。設定を期待しながらタイムクロス2を打つ。その機会が、これから何度あるだろう。その貴重な1回を、俺は手放してしまったのだ。負け額こそ小さかったが、この一敗は深く心に刻まれた。


俺は忘れていた。
ホールはサバンナだということを。
判断を誤り甘さを見せたら
負けるということを。