ホール側は自力で立ち回っている打ち手とそうでない打ち手の違いはしっかりと認識している
- シリーズ名
- 現役ホールマネージャーだけど、なんか聞きたいことある? (毎週日曜日更新)
- 話数
- 第59回
- 著者
- アタマキタ
設定漏洩を完全に防止するにはいくつか方法があると思うが、個人的に最も効果的だと思える方法を挙げていこう。もし、先般の事件を機にオペレーションを見直そうと考えられているホールの方がいれば、是非参考にしてもらいたい。
まずは、何がなくとも店内・店外のセキュリティチェックから始めること。いきなりスタッフによる漏洩とは関係なくなるが、灯台下暗しなんていうバカみたいことにならないためにも基本を大事にしよう。
とりあえず、外部から覗けるような場所があれば設定変更された台を特定される可能性があるので、閉め切った店内を覗かれるかも? という疑いを持つことだな。特に見落としがちなのが、天井や壁側面の鏡面から内部が映り込んでしまうパターン。ロールスクリーンなどで入り口などの視界をシャットアウトしているからといって安心してはいけない。知り合いの店舗の事例だか、裏の民家にカメラを仕掛け、その映像から設定を打ち変えた台を特定、さらに画像を拡大して設定内容まで見られていた…なんてこともあるのだ。
映り込みだけでなく音にも注意を払いたい。ゴト師による営業中の設定変更を防止するため、現在は変更時に音が出る仕様になっている機械がほとんどだ。それを逆手に取られ、機械が発する音で設定変更台を識別される可能性もある。特にバラエティコーナーは特定されやすいので要注意だろう。有線放送などのボリュームを上げてから変更すれば、このリスクは回避できるだろう。
さらに手元もチェック。設定変更作業は清掃後に行なわれることが多いが、筐体部分は意外と手垢や指紋などが残りやすいため、作業時は手袋をすれば間違いが起こりにくい。念には念を入れていきたい。
まあここまでは外的要因であって、問題は内部からの漏洩についてだ。
設定の変更などは誰にでも任せられる業務ではないから、しっかりとした人選をするのは当然。そしてこれも当然だが、現場から一般スタッフが帰宅した後の作業でなければならない。さらに、設定変更業務は少人数で行なうことが望ましい。
次に、選抜されたメンバーに対して、その責任の重さを伝えよう。もし設定を漏洩した場合、また自分の不手際などで第三者ないし当人が不当な利益を得るなどの問題が発覚した場合、社内規則により「極めて厳しく処罰される」旨を理解させておく必要性がある。
例の事件のようにホールや業界全体の信用を失墜させることにもなりかねないため、金銭的な損失を回復するだけで済まされることはないこと、そして想像している以上に厳しい処置を取ることを言明しなければならない。そんなこといちいち言わなくても分かるだろう? と思われがちだが、その深刻具合を明確に認知させないと、「まあこれくらいなら良いか…」と軽い気持ちで設定をリークしてしまうだろう。
次に実際の設定変更作業だが、これはどうこうできるモノではないから普通に担当者にやらせておけば良い。肝心なのは「その後」である。
まず、設定変更を記した帳票と設定キーについては必ず責任者の机の中へ、そして鍵をかけて管理しなければならない。次の日の早番の人間にその帳票を見られる可能性まで考えると、デスクの中にさらに鍵をかけるくらいの対策をしておきたい。このあたりをおろそかにすると問題が起こった時に犯人を特定しずらくなるかもしれないな。
さらに店内の様子を録画するレコーダーなどにはタイマーを設定しておき、出勤の1時間前などからそのデスクや店内を監視するようにしてもらいたい。もちろん、セキュリティが解除された時間を警備会社にメールなどで転送してもらい、必要以上に店舗に早く来ている者がいないか? などのチェックは毎日行なうべきだ。
次に、朝イチから来店するお客様(開店から約1時間)のチェックも欠かせない。従業員が設定を仲間に教えた場合、その台が第三者に取られては意味がなくなるため、大抵の場合は朝イチから該当台を狙って来ることになる。
そういう意味で、いきなり高設定台に座ってくるお客の動向はしっかりとみておく必要がある。まあ念のため開店から1時間程度は様子を見ておきたいところだな。朝イチからジャグラーの高設定台にピンポイントで座り、しかも出ていないのにタコ粘りするような客については監視度を高めよう。
それから高設定台を朝イチで押さえたにも関わらず、打たずに食事休憩札などを出しているようなお客さんもケアが必要。開店から飛び込みで打ち出し、朝から爆連でもすれば目立ってしょうがない…という心理から来るものかもしれないからだ。全体的な稼働が上がってくる時間帯からボチボチ打ち出すようだと要注意だな。
もし店舗入り口などに顔認証システムを入れているのであれば、そういったお客が来店された時にアラートを鳴らしてスタッフに警告し、監視することもできる。また、こういったことを一般のスタッフまでがケアできるようになると、案外簡単におかしな客を見つけ出せるものだ。
ここまで紹介したことが毎日できるようであれば良いのだが、もしそこまでは難しいというのであれば、打ち込み枚数の多くなっている高設定台くらいは必ず確認してもらいたい。
設定判別などができない、もしくは難しい機種の高設定台で、店が大きな黒字であるにも関わらず打ち込み枚数が異常に多い場合などは、絶対に録画された映像を確認するべきだ。同じような顔ぶれで同じようなことが続くようだといよいよ怪しくなる。
ということで、これさえやっておけばOKというよりも、二重三重四重に対策を講じることにより『設定漏洩に対しての意識レベルを上げていく』ことが一番の不正防止に繋がっていくんだと思う。
今回は一般のプレイヤーの方にとっては面白くない内容だったかも知れないが、設定リークが日常茶飯事などではないということを理解して頂きたいと思い、書かせてもらうことにした。また「そんな風に見られているのか…」と思わった方もいるかもしれないが、ホールとしては自力で立ち回って勝っていかれているお客様との違いはしっかり識別できるので安心して欲しい。また、勝ち越しているからと疑うことはないし、それなりに看破できる機種で粘っていれば、「あのお客さんはなかなかの打ち手だな!」と思うだけのことである。
さて、次回はこのような対策をする前に自分が部下にやられた手痛い設定漏洩の事についての話をしたいと思う。
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まずは、何がなくとも店内・店外のセキュリティチェックから始めること。いきなりスタッフによる漏洩とは関係なくなるが、灯台下暗しなんていうバカみたいことにならないためにも基本を大事にしよう。
とりあえず、外部から覗けるような場所があれば設定変更された台を特定される可能性があるので、閉め切った店内を覗かれるかも? という疑いを持つことだな。特に見落としがちなのが、天井や壁側面の鏡面から内部が映り込んでしまうパターン。ロールスクリーンなどで入り口などの視界をシャットアウトしているからといって安心してはいけない。知り合いの店舗の事例だか、裏の民家にカメラを仕掛け、その映像から設定を打ち変えた台を特定、さらに画像を拡大して設定内容まで見られていた…なんてこともあるのだ。
映り込みだけでなく音にも注意を払いたい。ゴト師による営業中の設定変更を防止するため、現在は変更時に音が出る仕様になっている機械がほとんどだ。それを逆手に取られ、機械が発する音で設定変更台を識別される可能性もある。特にバラエティコーナーは特定されやすいので要注意だろう。有線放送などのボリュームを上げてから変更すれば、このリスクは回避できるだろう。
さらに手元もチェック。設定変更作業は清掃後に行なわれることが多いが、筐体部分は意外と手垢や指紋などが残りやすいため、作業時は手袋をすれば間違いが起こりにくい。念には念を入れていきたい。
まあここまでは外的要因であって、問題は内部からの漏洩についてだ。
設定の変更などは誰にでも任せられる業務ではないから、しっかりとした人選をするのは当然。そしてこれも当然だが、現場から一般スタッフが帰宅した後の作業でなければならない。さらに、設定変更業務は少人数で行なうことが望ましい。
次に、選抜されたメンバーに対して、その責任の重さを伝えよう。もし設定を漏洩した場合、また自分の不手際などで第三者ないし当人が不当な利益を得るなどの問題が発覚した場合、社内規則により「極めて厳しく処罰される」旨を理解させておく必要性がある。
例の事件のようにホールや業界全体の信用を失墜させることにもなりかねないため、金銭的な損失を回復するだけで済まされることはないこと、そして想像している以上に厳しい処置を取ることを言明しなければならない。そんなこといちいち言わなくても分かるだろう? と思われがちだが、その深刻具合を明確に認知させないと、「まあこれくらいなら良いか…」と軽い気持ちで設定をリークしてしまうだろう。
次に実際の設定変更作業だが、これはどうこうできるモノではないから普通に担当者にやらせておけば良い。肝心なのは「その後」である。
まず、設定変更を記した帳票と設定キーについては必ず責任者の机の中へ、そして鍵をかけて管理しなければならない。次の日の早番の人間にその帳票を見られる可能性まで考えると、デスクの中にさらに鍵をかけるくらいの対策をしておきたい。このあたりをおろそかにすると問題が起こった時に犯人を特定しずらくなるかもしれないな。
さらに店内の様子を録画するレコーダーなどにはタイマーを設定しておき、出勤の1時間前などからそのデスクや店内を監視するようにしてもらいたい。もちろん、セキュリティが解除された時間を警備会社にメールなどで転送してもらい、必要以上に店舗に早く来ている者がいないか? などのチェックは毎日行なうべきだ。
次に、朝イチから来店するお客様(開店から約1時間)のチェックも欠かせない。従業員が設定を仲間に教えた場合、その台が第三者に取られては意味がなくなるため、大抵の場合は朝イチから該当台を狙って来ることになる。
そういう意味で、いきなり高設定台に座ってくるお客の動向はしっかりとみておく必要がある。まあ念のため開店から1時間程度は様子を見ておきたいところだな。朝イチからジャグラーの高設定台にピンポイントで座り、しかも出ていないのにタコ粘りするような客については監視度を高めよう。
それから高設定台を朝イチで押さえたにも関わらず、打たずに食事休憩札などを出しているようなお客さんもケアが必要。開店から飛び込みで打ち出し、朝から爆連でもすれば目立ってしょうがない…という心理から来るものかもしれないからだ。全体的な稼働が上がってくる時間帯からボチボチ打ち出すようだと要注意だな。
もし店舗入り口などに顔認証システムを入れているのであれば、そういったお客が来店された時にアラートを鳴らしてスタッフに警告し、監視することもできる。また、こういったことを一般のスタッフまでがケアできるようになると、案外簡単におかしな客を見つけ出せるものだ。
ここまで紹介したことが毎日できるようであれば良いのだが、もしそこまでは難しいというのであれば、打ち込み枚数の多くなっている高設定台くらいは必ず確認してもらいたい。
設定判別などができない、もしくは難しい機種の高設定台で、店が大きな黒字であるにも関わらず打ち込み枚数が異常に多い場合などは、絶対に録画された映像を確認するべきだ。同じような顔ぶれで同じようなことが続くようだといよいよ怪しくなる。
ということで、これさえやっておけばOKというよりも、二重三重四重に対策を講じることにより『設定漏洩に対しての意識レベルを上げていく』ことが一番の不正防止に繋がっていくんだと思う。
今回は一般のプレイヤーの方にとっては面白くない内容だったかも知れないが、設定リークが日常茶飯事などではないということを理解して頂きたいと思い、書かせてもらうことにした。また「そんな風に見られているのか…」と思わった方もいるかもしれないが、ホールとしては自力で立ち回って勝っていかれているお客様との違いはしっかり識別できるので安心して欲しい。また、勝ち越しているからと疑うことはないし、それなりに看破できる機種で粘っていれば、「あのお客さんはなかなかの打ち手だな!」と思うだけのことである。
さて、次回はこのような対策をする前に自分が部下にやられた手痛い設定漏洩の事についての話をしたいと思う。
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