パチンコの遠隔操作は過去にあったかもしれないが、それは「むしりとる」ためではなく「勝たせる」ため

シリーズ名
現役ホールマネージャーだけど、なんか聞きたいことある? (毎週日曜日更新)
話数
第54回
著者
アタマキタ
悪魔の証明

質問を送っていただいている方の中には遠隔操作を強く信じている人が一定数いる。このコラム内で何度か否定したが、それでも「こういうことがあったから間違いない」という投稿は続き、延々と決着もみない。それは結局のところ俺に説得力がないということなのだろうが。

しかしそのやりとりに意味がないと嘆いてばかりではいられない。質問を送ってこない人の中にだって遠隔を疑っている人が一定数いるだろうし、このコラムやサイトを見ない人のことまで考えるとかなりの人数になるはずだ。そしてそういう人達の声に影響されて遠隔を疑う人というのは倍々ゲームで増えていくのかもしれないから、機会を見て地道に声を上げていくしかないだろう。


先日、久々に店長仲間で集まる機会があった。その席で遠隔疑惑について話題を振ってみたのだが、やはりどの店も同じようで、ネット上で遠隔を指摘されたり、お客さんから直接文句を言われたりというのが絶えないとのこと。

実際、「パチンコ店、遠隔操作」などで検索すれば訳の分からないものがゴマンと出てくるわけだが、言ってみりゃ全店舗が遠隔疑惑の俎上に上がっていると言っても過言ではない。そんなことがあり得るだろうか? …なんてことを言っても意味がないんだろうが。

ちなみに、イチ打ち手として考えた場合(ほとんど全員が25年以上打ち続けてきた現役プレイヤーである)、『パチンコパチスロについては今が一番安心して打てる』というのが全員の共通するところだった。自身も含め、全員がはちゃめちゃな時代を生きてきたがゆえに、それは心からの本音なのだ。


遠隔疑惑については、打ち手が文句を言い合って憂さを晴らすってことで済むのであればまあ良いだろう。ホールがそれに我慢していれば済む話なのだから。

しかし現実問題として、遠隔操作というキーワードからホールコンピューター(ホルコン)に話をすり替え、さらにそれを攻略する方法があると謳い、攻略法を販売する会社まであるというのが実情だ。これは紛れもない詐欺である。もし自店のお客様がそういったことで金をむしり取られているとしたら…看過できない。その場にいた全員がそういう思いを共有しているということだけは分かってもらいたい。


基本的に、お店で「遠隔だ!」と騒がれるお客様のほとんどは確率についての理解が極めて偏っている…というか、理論的に説明できないものにしがみついている。そんな状況では確率の話など無意味だが、念のため今回は触れておこう。

仮に1日の遊技時間(確率変動時や大当たり時間を除く)を8時間とすると、1日で稼げる回転数というのは概ね、8時間×360回転(1時間の想定回転数)=2880回転というのが相場だ。もちろん機種によって全然違うのだが、あくまで参考値として考えて欲しい。そして大当たり確率1/320の機械であれば、確率通りに大当たりが引けたとすると、9回(=2880÷320)ほどの初当たりが引けることになる。

言うまでもないが、すべての台がそうなるわけではない。1回も大当たりが引けない台もあるだろうし、20回の初当たりを引く台が出るかもしれない。経験的な感触にはなるが、確率に近い形に収まる台というのは、同一機種が10台設置されている場合でも2〜3台程度だろうと思う。

つまり1/320程度の確率ですら1日単位では落ち着かないということだ。それはおかしいじゃないか! と言われても確率というのはそういうもの…としか言いようのない部分はあるよな(確率は残酷な面もあるよ!)。


例えば先ほどの1/320の機械が、2880回転させて合計大当たり回数が0回だったとしよう。そして翌日も全く同じ回転数で、大当たり回数が0回という結果になったとする。2日間でノーヒットという状態だな。しかし翌日また同じ回転数を回して今度は27回の大当たりが出たとしたら…?

もしその時、いつも勝っている常連客が座ってたら…もう遠隔確定かい? しかし、3日間で通算すると2880回転×3日間÷(0+0+27)=320ということで、結果的には確率通りということになるんだよな。

これが例えば10日間当たりがこなかろうが、極論すれば20日間だとしても同じこと。どこかでまとめて大当たりの波がくる可能性を考えれば、極めて低い確率だとしても「起こらないとは言えない」ということになる。

また10台そこそこの店舗レベルで考えると想像しにくいかもしれないが、全国レベルの台数で考え、そして中には5万発やら10万発とかアホみたいに当たってしまう台があることを考えると、ある店の全台でとてつもないハマリが起ころうが、全体でみればバランスしてしまうということは、十分起こり得るのだ。それが確率というものである。


ちなみに、パチンコというのは検査機関で問題がないということが確認されない限り販売できないのだが、当然ながら確率や継続率についても調べられている。その検査期間は10日とも2週間とも言われているので偏りは多く発生してしまうだろうが、それでも問題がない…というか、確率上起こりうるという処理をされるわけだ。

では、仮に大当たり確率1/320の機械が、1日で確率通りにならなくてはならないというルールがあったらどうだろうか? それこそ遠隔でもしない限り実現不可能かもしれないが、それはもう面白くも何ともないだろう。

なにせ2880回転まわせば初当たりが9回獲得できるのだからドキドキもなにもあったもんじゃないし、打つ前から結果が見えてるってことになる。つまり、ボーダー以下の台に座ってしまったら、100%勝てないということだ。

逆に、運よくボーダー以上の台に辿り着ければ勝てるということになるが、それはスタートチャッカーに玉を入れるだけのゲームとなってしまい、節約できた分だけがプラスになるという、それはそれでつまらないものとなるだろう。


どんな台でもそうだが、そこそこの台数で1ヶ月程度きちんと稼働が伴えば概ね確率通りの結果が返ってくる。そうでなければホール経営など成り立たないし、プロだって連日のように打ち込むこともないだろう。最後は確率近くに落ち着くと分かっているからこそ、負けていてもボーダー以上に回る台でタコ粘りできるのだ。

逆に遠隔操作ができるのであれば、プロというのは店にとって恰好の餌食ってことだよな。ボーダーを上回る台を常に用意しておき、大当たり回数を低めに設定できるのであればそれだけで丸儲けだ。


これは現在の話ではなく過去の話であるが、確かにかつては遠隔操作というものが存在していたのだろう。しかしその目的は負けている客を増やすためではなく、むしろその逆だったはず。

それはつまり、極端なハマリを救済するということで、出ている客の玉を削ることで負けているお客に還元するためだ。方法論としては完全に間違っているが、より遊びやいホールづくりをするためという面があったのは確かである。

カジノなんかも同じだろうが、気前よく負けてくるお客様はお得意様なわけだから、身ぐるみ剥がすなんて馬鹿げた話。むしろ、そういう人ほど適度に勝ってもらいたいと思うだろう。だから遠隔というものがあるとしても、それはお客さんを大負けさせるためではなく、出玉を平均化するために編み出された方法である。

それでも納得はしてもらえないだろうが、根本的に『大負けしたから遠隔』というのは筋が通らないということだけは分かってもらいたい。


じゃあパチンコパチスロに不正がないのか? と言えば決してそんなことはない。

そこで出てくるのがゴト師の問題。つまり、遠隔というものはほぼ間違いなく存在しないが、不正基板が仕込まれたことで出玉が操作されている可能性はある…というか、それは現実に起こっている。いま問題となっているのがバジリスク絆なのだが、一部ではゴトが横行しているようだ。

この機械の認定作業が昨年末に全国一斉に行なわれたのだが、作業員の中にゴト師が紛れ込んでいたらしい。サブ基板というものに仕込みをしていくという事例が発覚している。

改造されたサブ基板が搭載された機械というのは、プログラムを知っているゴト師の仲間が打たない時間帯はすべて回収モードにされるために、一般客がその分の割を喰うことになる。しかしホール側からすればゴト師の勝ちと一般のお客様でバランスしてしまうため、不正に改造されているとは気付けないのだ。これは深刻な問題である。

そういう意味では、今、ホールがすべきことは、健全な遊技機の提供をするために徹底的にゴト師を排除するシステムを作っていくことだ。最低でも月イチで外部業者によるセキュリティチェックを受けるべきできだろうな。

また、これはゴト行為ではないが、先日話題となった、打ち子を募集して高設定を打たせるなどといった内部犯行も防げたのではないか? とも考えてしまう。


企業が営業許可取り消しなどという大きなリスクを背負ってまで、今の時代に遠隔操作をする必要性はない。しかし打ち手ばかりでなく、ホールも被害者である不正基板というものは存在する。そういったところを撲滅するために、打ち手とホールはもう少し理解し合えれば良いのだが…それもまた夢だろうか。

何にせよ、これまでのパチンコ史において、現在が一番健全な時代というのは間違いなく言えることだ。そしてさらなる向上を目指して進んでいくのみである。

今回のコラムを読んで一人でも転向してくれたとしたら有難いことだ。



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