壁やタイルを壊すだけじゃない!トイレ内での悪質な悪戯とは?

シリーズ名
現役ホールマネージャーだけど、なんか聞きたいことある? (毎週日曜日更新)
話数
第40回
著者
アタマキタ
前回、「よく行くホールのトイレの入り口に最近、イタズラ防止のためか監視警備強化実施中の貼り紙が」という質問に回答したが、実はホール側が「監視カメラうんぬん」と張りつけたくなる気持ちは分からなくもない。要はそれぐらい、トイレ内のトラブルが多いんだよな。

前回も書いたが、『監視カメラ』という脅しをトイレ前に掲示するくらいではイタズラ防止や抑止に繋がらないとは思っている。しかし見られていないという安心感(?)がそうさせるのか、トイレ内でのイタズラには悪質なものも多いのだ。そこで今回は、これまで俺が経験してきた事例をいくつか紹介してみたい。


まずは、誰もが思い浮かぶ…というか実際に何度も目撃しているだろうが、やはり一番多いのはタイルや壁を蹴飛ばして破壊するという行為だ。低い位置は足で蹴飛ばし、高い位置はパンチでといった具合に、それはそれは見事な穴を空けていく。

こういうのを見る度に「そのエネルギーを何か別のものに使えば良いものを…」とうんざりするのだが、そうは問屋が卸さないらしく、こういった事例は後を絶たない。ひどいのになると、壁が血だらけになってたなんてこともあるよ。勢い余って拳を砕いたんだろうが…ま、自業自得だろうか。

何にせよデストロイヤーは流血や痛みに耐えて帰れば済むかもしれないが、我々には後始末が残される。基本的に業者を呼んで作業してもらうことになるが、最低でも壁を補修してからタイルを盛り直し、そして目地を入れるくらいはやらなくてはならない。そして当然、お客様のいない深夜に対応するわけだから、割増料金という嬉しくないオマケまでついてくる。これで、安くても5万円くらいは軽く吹っ飛ぶな。


もちろん破壊衝動は壁だけに向けられるわけではない。確信犯なのか何なのか分からないが、小便器のセンサーを攻略してくる輩もいたよ。ここを破壊されると、大抵小便器の水が出っ放しになるか全く出てこないという状況に陥るのだが、この修繕がまた厄介なのだ。センサーの交換をしなくてはならないから工事が大掛かりになり、ざっくりと10万円は請求されてしまう。


まだまだ破壊行動の多様性は広がりを見せるのだが、大便器(個室内)のトラブルについて紹介していこうか。

ある日、スタッフに呼ばれてトイレを覗いて唖然としたのだが、和便器が真っ二つに割れていたということがあった。しかもそれは女性トイレである。女性の力でどうやったらここまで破壊できるのか? と首をかしげるくらいの凄まじさで、ある意味畏敬の念すら覚えるほどの鮮やかさであった。

しかしこの時は俺もアタマに血が上っていたせいもあり、深く考えず、今度は絶対に壊されないようにという理由だけでステンレス製の和便器に交換したのだ。するとこれが非常に評判が悪く、お客様からクレームが続出することに…。まぁそのクレームというのも思わず笑ってしまうようなものもあったけどな。

例えば、そのステンレスの便器は鏡面加工になっていたのだが、用を済ませようと下着を脱いでそこを跨ぐときに、思いがけず自分の尻の穴が見えてしまい、初めて自分のものを見たという女性が、半泣きでカウンターの女性スタッフに訴えてきた…とかね。大至急、鏡面で仕上げた部分を、反射しないようにヘアライン仕上げに変更させてもらいましたよ。


あと、女性トイレでヤバかったのが、タバコを吸って火を消さずにそのまま汚物箱へと捨てていく女。数回は早期発見できてトラブルにならなかったのだが、やはりそれは運が良かっただけだ。ある日、突然トイレ内から煙が漏れ出すというボヤ騒ぎが起こり、119番通報にまで至ってしまった。もうこれはれっきとした連続放火事案だろう?

「さすがにこれは…」ということで犯人探しとなったのだが、火元となったタバコが特定しやすい銘柄だったため、吸い殻の回収時に銘柄のチェックをすることにしたのだ。すると、すぐにある女性に疑惑の目が向けられる。もちろんたまたま同じ銘柄という可能性もあるので、マークは慎重に行なったよ? しかしある日、その女性がトイレを利用した直後にまた汚物入れが引火していたので、まもなく御用となった。一歩間違えれば大火事となる可能性もあるので、放火は本当に勘弁してもらいたいものだ。


最後は男性トイレで起こったトラブルだが、これには俺はホトホト手を焼いた記憶がある。それはウォシュレットのコンセントとコンセント口の破壊事案だ。

大便器に取り付けられているウォシュレットの電源を壁面のコンセント口から取っていたのだが、犯人はコンセントと差し込み口部分を靴で蹴り飛ばしたようで、ウォシュレットのコンセントは壊されるわ、壁面のコンセント口のプラスチックは破壊されるわで、見るも無残な姿になっていた。

しかし他のお客さんに迷惑をかけるわけにはいかないから、怒りを抑えて即日修理するしかない。しかし…これが1回で済めばまだ良いのだが、なんと! 来る日も来る日も壊され続けたのだ。

そこである店休日、工事業者を呼んで、トイレの内壁やウォシュレットのコンセントの差し込み口の裏側に振動センサーを取り付けることに。振動センサーとは、良く車のセキュリティなどに使用されるもので、振動を感知すると発報するものだ。そして、トイレ内に大音量を発するベル、さらにトイレの外側に大型のパトライトも取り付けて様子を見ることにした。

すると早速、翌日の昼頃に犯人らしき男を発見! 大音量に慌ててトイレから出てきた男は、超ダッシュで階段を駆け下りて逃げようとしたのだが、足がもつれてあえなく大転倒!

しかしその様子が余りに酷かったので、スタッフが心配になって駆け寄ったのだが、当人はそれに恐怖を感じたようで、足を引きずりながら必死になって表に出て、車にクラクションを鳴らされながらも車道を突っ切って逃げていったのだ。無茶しよるなぁ〜と一部始終見ていたが、それ以来、奴が店に姿を見せることはなかったよ。


まあトラブルを数え上げればキリはないが、トイレというものは汚物と一緒に汚い感情も吐き捨てられていく場所…ってことなんだろうな。何にせよ、イラッとすることがあってもトイレを破壊するのは止めてもらいたい。自分が怪我をしてしまうこともあるし、もし破壊行為で捕まれば、手痛い賠償金を支払う羽目になるかもしれないぞ。



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