1日に声をかけた女性は約60人…遂にコラムに協力してくれる女性を発見!

シリーズ名
パチンコネクト (毎週日曜日更新)
話数
第4回
著者
夏野仁
これは低迷を続けるパチンコ業界を救うべく立ち上がった、1人の男の物語。

パチンコファンを増やすため、打ったことのない人に声をかけてパチンコを打ってもらう…そんな草の根活動に勤しむライターの勇姿をご覧いただきたい。






コラムに協力してくれる女性を探し回り、1日で声をかけた人数は約60人。それでも首を縦に振る女性は1人も現れず。つまり連載にこぎつけるためのネタはできなかった。それだけならまだしも、人為変態を遂げた編集Mとともに夜の街で散財するという暴挙に出たせいで残ったのは借金だけという…思い出したくもない悪夢の1日から数日後のこと。


編集長(以下、長)から呼び出しがかかった。

自分よりも先にMさんが編集長と顔を合わせているのを見ていたので、企画が失敗に終わったことは耳に入っているはずなのである。それは僕が怒られることを意味している。長と対峙した瞬間、僕のハイスペックな脳が危険信号を発し始めた。

あの適当人間Mのことだ。その後ハレンチなお店に行ったことまで話してしまっているかもしれない。新人ライターが企画のネタを作れなかったばかりか、その後反省もせずにハレンチな店に行ったなんてことが知れたら…一巻の終わり。今でさえ貧乏なのに、今後ますます仕事が来なくなるだろう。そしたら破滅だ。もう会社の前の二丁目ストリートで体を売るしかないのか…。

嫌だ! それだけは、それだけはぁぁぁ!!

「なかなか楽しい夜だったみたいだねぇ…」

言っちゃってるよおおお!!

完全に詰んだ。終わりました。僕はもうおゲイ達のトイズとして生きていくしかないのか…。なんだか視界が暗くなってきた。

「いやー、面白いよ。笑っちゃうね」

「す、すみません…」

「いやいや、仁くんすっごくおもしろいよ。だってさー、金欠だから仕事をもらうために無理して60人もの女の子に声かけたらしいじゃん。それが全部失敗して、そのうえ借金してまで夜のお店に行っちゃったんだよ? そんなバカなやついないよ」

あれ? なんだか思ってたのと違う。怒ってないの?

「わ、笑わないでくださいよ〜。自分でも結構凹んでんすから。でもなによりせっかくの機会をダメにして、すみませんでした!」

「もう終わりでいいの?」

これは…まだ可能性が潰えたわけじゃないということなのか? そうなんだな!?

当然このままでは終われない。ライターとして胸を張れる仕事をしたい…というか浪費したお金を取り戻したい。じゃないと借金を返済できないのだ。そして、もう編集Mとは関わらない。お金を返した後は、彼を見かけても極力無視していこう。

「このままやと悔しいです!」

「よし。そうこなくっちゃ。面白かったからもう少し挑戦してみたら? 今回予定していた時期にはもう間に合わないけど、女の子に打たせることができたら次のタイミングで考えてあげるからさ。まぁ打ってもらえたら、だけどね!」

そう言ってその場を去る編集長。こうしてリベンジの機会が与えられたのである。


その日から別の業務があったので声掛けは一時中断したが、その業務も全て終えて声掛けを再開できるようになった日のこと。

終電で最寄駅に着き、近くにあるコンビニに寄ると、早速店内で1人の女性を発見。

マスクをしているので顔はよくわからないけど、髪は…水色? めちゃめちゃ派手やなー。でも、もうウダウダ言っている場合ではない。それに、個性的な見た目の人のほうが意外と打ってくれたりするかもしれないし、試しに声をかけてみよう!

コンビニを出た彼女に「あのぅ…」と声を掛けると、「何ですか? 買ったアイスが溶けちゃうんですけど」と拒絶感に満ちた厳しい返事が返ってきた。深夜1時ぐらいだし当然の反応だろう。企画の説明をしても警戒心を解くことができなかったが、こちらもなりふりかまっている場合じゃない。ダメ元で「ほんとにお願いしますよぉ! 先っぽだけでもいいですから!」と食い下がってみた。

僕の見間違いかもしれないが、その時彼女の表情がフッと柔らかくなった気がした。


…いいですよ。


ん!? 聞き間違いだろうか。これまで一度も聞いたことのない言葉が返ってきたような…。自分の耳が信じられなかったので、もう一度聞いてみた。

うん…え? 「いいですよ」ですか。あ、「顔出ししなければOK」ですね。そうですか。



き、きき、ききききおったでえええ! いよっしゃあああ!! 連載、勝ち取ったり! 借金もチャラになるでー!!

先日は60回声をかけてもダメだったのに、今日は1回で成功。ハマリもあればオスイチもある。ナンパはパチンコと似ているな。

こみ上げてくる喜びを抑えながら、後日待ち合わせる約束をしてラインを交換。そして彼女と別れた帰り道、


あまりにも嬉しかったのでツイッターでつぶやいてしまった。

他の人が見ても意味がわからないツイートなので、フォロワーさんから何かあったの? とか聞かれるだろうと思って返事を考えていたが、不思議なことに質問は1件もなく、もう少し自分に興味を持ってくれてもいいんじゃないのか? と3日くらいもやもやすることになった。こんな事があるとちょっぴり傷ついちゃうので、このコラムを読んだ人はすぐに僕をフォローし、ツイートに対してしつこいくらいに反応してくださると幸いです。



待ち合わせ当日。

編集長がまたもや助っ人を1人用意してくれたが、それはやはり編集Mだった。もちろん不服だったが、写真撮影などを考えると1人では難しいのも事実。渋々Mに同行してもらい待ち合わせ場所へ行くと、彼女はまだ来ていなかった。

Mはまだ見ぬ女性との出会いにソワソワしている。もう下心を隠す気もないようだ。相変わらず仕事に対する責任感のない男だ。というか、言っておくがこれは僕が声を掛けてOKをもらった案件なのだ。間違いを起こす権利は、まず僕にあるんだからな。そこんとこはき違えんじゃないよ!

などとMへの憎悪を募らせていると…


やっぱり僕、チビに見える。最初は偶然かと思ったけど、2度目ともなると編集Mが悪意を持って遠近法を使っているとしか思えない。僕はチビじゃないぞ。

違う。そんなことはどうでもいいのだ。来てくれた彼女は、以前とかなり印象が変わっていた。というのを書きたかったのだ。

マスク姿で現れた彼女は、髪が水色から黒っぽい落ち着いた色になっていた。なんでも身近な方が鬼籍に入ったそうで、さすがに水色の髪で葬式に出るわけにはいかなかったとのこと。とはいえ、まさかこうも地味になるとは…なんともコラム泣かせであるが、贅沢は言わない。打ってくれるだけでアザースなのだ。


気を取り直して、早速最寄りのホールへ。1人3000円という予算を考えて当たりやすい羽根デジのシマへ行くと、彼女は原作アニメを知っているという理由でCRエヴァンゲリヲン9を選択。


まじまじと台を見つめる彼女。初めてなので当然だ。


普段パチンコジャンキー達しか見ていないので、不慣れな彼女の一挙手一投足がとても新鮮で可愛く思える。自分も彼女の隣で3×3EYESを打つことにした。

ちなみに写真では僕がエロいことを企んでいる感じで写っているが、どう遊ぶのか全く分からない彼女に玉の借り方やハンドルの捻り方をレクチャーしただけなので誤解しないでほしい。とにかく、いよいよ実戦開始。


2人合わせて6000円という実戦。羽根デジとはいえ大当たり無しという展開も十分考えられる。そうなるとパチンコの楽しさなど伝わらず、パチンコファンにもなってはくれないだろう。

正直に書こう。そんなことは僕にとって心の底からどうでもいい問題なのだ。それよりも明日の飯にありつけるかどうかでいっぱいいっぱいなのだ。そんなことを考える余裕はない。とはいえお近づきになるためには彼女が当たって楽しんでもらった方が都合がいいのは事実。当てて欲しいという点では企画と僕の目的は一致している。

我ながら不純だと思う。でもわかってほしい。金もなく彼女もいない僕が、やっと掴んだチャンスなのだ。女の子と、ちゃんと仲良くなりたい! そして金も欲しい! リア充の仲間になりたい!!


僕がそんな煩悩を爆発させていると、


彼女が出玉なし確変をGETした。

よーし! 出玉なし確変は電サポ100回だから連チャンに…はっ! 何が起こったのか分からない様子の彼女に説明してあげなければ! ん? 待てよ…出玉なし確変なんてどう説明したらいいんだ。初心者からしたら玉が出ないのに当たりなんて理解できないだろう。

こ、この女…なんて説明しづらい当たりを引いてくれたんだ。考えろ。僕はライター。言葉のプロなんだ。この状況をわかりやすく彼女に説明するんだ!






当たりやすくなったよ。



これがライター夏野仁の全力だった。でも、ハンドルを目一杯右に捻っていれば大丈夫と説明したから大丈夫。抜かりはない。

まぁ必要なことは伝えたし、どうにかなるだろう。連チャン期待度は70%、どうにかならない確率のほうが低いのだ。


華麗にスルー。当たったのに出玉0。むしろ上皿の玉が無くなって追加投資したからマイナス。これではパチンコが嫌いになってしまう。

というか、これでは面白いかどうか以前の問題だ。「当たったよ」→出玉なし。「右打ちしておけば大丈夫」→電サポ終了。あちらさんからすれば「嘘をつかれてるのか?」って思われてもおかしくない。これではお近づきになれないではないか。なにも今、そんなレアな当たりを引かなくてもいいんじゃないだろうか…。


雲行きが怪しくなり始めたが、直後に自分が打っていた3×3EYESが大当たり。好機である。


えぇい、これで出玉感を味わえ! と言わんばかりに急いで席をチェンジ。大当たりした台を代わりに打たせるというのは勝たせ方として力技が過ぎる気もするが…これも彼女と距離を近づけるために必要なこと。やむなしだ。


しかし…ようやく出玉が出る感覚を味わってもらうことはできたが、まだ楽しいというより何が起こっているのか分からずにただ戸惑っているという感じである。

ふふふ、だが問題はない。なぜならこの大当たりは確変だからだ! 83%という高継続RUSHが待っているのだ。このRUSHならさすがにパチンコの面白さを知ってもらえるだろう。さぁ、じっくりと至福の時間を過ごすが良い。


気が付くと1度も数字が揃わないまま、液晶には「左打ち」というなんとも気分の悪い文字が出現していた。

な、なんちゅうヒキしてんねや…。70%をスルーした後に83%もスルーって。2つともスルーする確率って約5%とかやねんぞ。才能のカケラも感じられん。この子何者なんやろ…。

そんな疑念を抱いている間に、無情にも彼女の3000円パチンコが幕を閉じた。

出玉なし確変、そしてSTスルー…むしろパチンコの嫌な部分ばかり見せてしまったぞ。これじゃ大失敗じゃないか…。


ん!? あれ! あれぇ!?

当たった…。なんと自分も最後の500円が無くなろうかというその時、ロゴ落ちからの突発大当たりという珍しくも嬉しい出来事が起きたのだ。

これが本当のラストチャンス。これをスルーしたら…分かっているよな? なんとしても当ててくれ。と、呪いにも似た願いを込めて彼女にバトンを渡す。


羽根デジで十分といえる出玉獲得に成功。ようやく楽しい時間を満喫してもらうことができたと思う。

彼女に確認するとプラスで終わりたいと言うので、ここで実戦終了。


見事プラスで実戦を終え、約束通り彼女にはノリ打ちの勝ち分をプレゼント。

ちなみにMさんは別のシマで羽根モノを打って、少しマイナス。仕事しろよ。


この後、初めてパチンコに触れた彼女のリアルな感想を聞くために、彼女おすすめの昼から飲めるオシャレな居酒屋へと移動したのだが…

まさかこの店で衝撃の事実を知らされることになるとは、この時はまだ知る由もなかった。


次回、彼女の素顔! お楽しみにー!