ホールを荒らす自称プロ軍団と遂に決着!設定6を捨てた理由とは!?

シリーズ名
現役ホールマネージャーだけど、なんか聞きたいことある? (毎週日曜日更新)
話数
第25回
著者
アタマキタ
表に出るなり白ブタが突っかかってきた。ちょっと前まで絶望丸出しだったのに、この数分で少しく息を吹き返したようだ。しぶとい奴だなぁと多少関心したものの、噴飯モノの言いがかりが飛び出してきて唖然としてしまった。

「てめぇ! 俺らが朝イチで6が入っていないと見切った台を途中で6に変えやがったな!」

「あの…お客様、朝からずっとご遊技されている方がいる中で、どうやって途中で設定変更などできるのですか?」

ちょっとバカにしたような響きが漏れてしまったかもしれない。それに反応したのか、奴のいらつきに拍車をかけてしまったようだ。

「お前の言うことなんか信用できるかよ! さっきのジジイに聞いてはっきりさせてやる!」

また襟首をひっつかんで強引に言質を取るつもりなのだろう。しかしあんな狼籍を繰り返させるわけにはいかないので、店内に入ろうとした奴の襟首を、今度は俺が思いっきり後ろから引っ張ってやった。

「お客様…何で外に連れて来られたか分かってないんですか? 私はあなたに用があってここに来てもらったんです。あなたの言い分なんて聞いてないんですよ。そもそもね、あなたをここに呼んだのは、当店への今後一切の出入りをお断りするためです」

襟首を掴まれた驚きや出禁宣告への怒りなどがないまぜとなったせいなのか、奴の顔はみるまに紅潮していった。

「な、何で俺が出入禁止にならなきゃいけねえんだよ!」

当然の報いのようにも思えるのだが、彼にとってはそうではないようだ。もちろん奴を納得させる答えは用意されている。しかし、とりあえずここからは、出禁宣告を受けた者への対応に変えていった。

「当たり前だろこの野郎! 店の常連を脅して設定確認を強要しただろうが! これが迷惑行為じゃなくて何が迷惑だって言うんだ? 朝の騒ぎもそうだし、お前らのやってきた迷惑行為を挙げていったらキリがねえんだよ。何にせよお前はもう出禁だ。それでも店内に入ろうとしたら、建造物侵入ってことですぐに警察に連絡させてもらうからな!」

警察というワードのパワーか、はたまた俺の口調が突然変わったせいかは分からないが、奴らが怯んだのが手に取るように分かった。ここでダメ押しをするに限る。

「それと…あの南国育ちな。当たり前だが、朝から全台6のままだ。お前らがどんな判別を試したかは知らんが、俺は昨日全台6にした後、念入りに動作チェックをしてるんだよ」

白デブは状況を飲み込めていないようだった。要は、その程度の知識で偉そうにしてたということ。当時はそういった"にわか"の勘違い野郎が多かったのだ。

「今日はたくさん出してもらわないといけないからな。心配になって2時間ほど打ち込んでみたんだよ、全台な。何かの間違いでストックが切れたりでもしたら大変だろ? でも流石に設定6だよな〜。1台ずつ試していったら、ほとんどの台が1回目の当たりで蝶が飛んだよ。それで安心してそのまま開店したんだわ」

白ブタとその仲間は顔を見合わせた。ここでようやく自分達のミスに気付いたようだ。

「それをお前らが朝イチに占拠して、まんまと6を独占したわけだ。それなのに、お前らは一発目の当たりで蝶が飛ばないからってブン投げたんだろ? 自業自得じゃねえかよ。勝手な言いがかり付けてんじゃねぇぞ!」

白ブタは呆然としている。しかしまだ自分達が設定6を捨てた、しかも全6という"とてつもない大魚"を逃したという現実を受け入れられないようだ。


すると突然、奴が後ろを向いて自動ドアをこじ開けて店内に入ろうとしたため、すかさずその場で取り押さえる。

「お前な、今しがた出入禁止って言ったばかりだろ? 人の話はちゃんと聞こうぜ。そういう態度だから南国の設定6を捨てちゃうんだろうな〜? 本当にもったいないよなー。お前らがシマ占拠するだろうと思ってわざわざ全6にしてやったのにさ」


この機種の設定6は、基本的に単発→3連→単発→3連…を繰り返していくのだが、設定変更後の初当たりに関しては75%で蝶が飛ぶ(=1G連)というシステム。そこで当時は、朝の一発目で蝶が飛ぶかどうかを確認し、それが3連止まりなら6の可能性大(もちろん6が必ず入るという前提で)、それ以外は逆に6の可能性が低くなるという認識が浸透していた。

設定6に変更しても1/4は蝶が飛ばないのだから、たった1回での見切りは危険かもしれない。それに設定6のリセットなら初当たりを2回も引けばほぼほぼ1G連するのだから、そこまでは追った方が良いという考えもある。しかし当時の認識としては、朝イチ一発目がスカったらヤメるというのが王道だったように思う。

また、追い続けた場合にも別の問題が出てくる。なぜなら、2回目の初当たりから3連したとしても、6をツモった! とは断言しにくくなるから。前日の据え置きなども考えると、朝から初当たりを2回も引けば蝶が飛んでも不思議はないのだ。

もちろんそこからさらに数回の初当たりを引けば間違いなく6を看破できるだろうが、問題はそこまで突っ込むリスクを引き受けるかどうか。そして俺は、奴らにその粘りはないと踏んだ。つまり、奴らは朝イチでお手軽に6を看破したいから南国を占拠したわけで、朝イチに蝶が飛ばなかったら、その後も追いかけるという戦略はないと見切っていた。端的に言うと、俺は奴らをその程度だと見下してたってことだな。

「ま、お前らが捨てたおかげで他のお客さんが楽しめてるわけだし、結果的にお前らも出禁にできたし。これでもちょっとは感謝してるんだぜ? だけどな、それでも店に入るってんなら…もう俺の手には余るからいますぐ警察に出動を願うとするよ。それでも入るわけ?」

しばらく渋い顔をしていたが、俺が本気だということを悟ったのだろう。仲間を連れてその場から立ち去っていった。これで、奴らとのバトルは幕を閉じた。



随分と回りくどいやり口と思われるかもしれない。こんなことをしなくたって、面倒なことになったら「プロはお断り」とかなんとか言って追い出せば済む話だ。実際、そういうホールがほとんどだと思う。

しかし俺はそれでは済ませられないと思ったのだ。店や常連客に対して舐めた真似をするような輩からは、1円でも多くの現金を回収し、もう二度とこの店に来られないと思わせるほどの大きなダメージを与えなければならない。そうでもしないと、本当の意味での出入禁止にはならないんじゃないかな? だからこそ、あえて全台設定6という、これ以上ない舞台を用意しての勝負が重要だったのだ。


このような策を仕込んだのが初めてだったからこそ上手くいったという部分は大きい。しかし、これがもし裏目に出ていたら…精神的なショックは計り知れない。

奴らはシマを占拠して1台の設定6を取りに行ってるのに、それが全員6をツモったと我が物顔で打たれたら…俺は憤死していたかもしれないよ。いやマジで(笑)。もちろん誰が打とうが出てしまうだろうから、赤字の額などは最初から気にしていない。


ちなみに、これはエセプロ退治のような話に見えるかも知れないが、それはちょっと違う。自分としては、一般のお客さんや常連を守るという、ホールの矜持の問題だと考えている。

大きなお世話かもしれないが、最近のパチンコホールは、どんな不良客であっても頭をペコペコさせて、最終的に出て行ってくれれば良いというような考え方を持っているホールが多くなっているのではないだろうか。


もちろん客商売だから、お客さんを大事にするのは当たり前だが、こちらにだってお客さんを選ぶ権利はあるし、そのお客さん自体に迷惑をかけるような人間は客とはみなせないと思うのだが…。


いずれにせよ、いま一度基本に立ち返って、ファンを守ることを優先した営業をして頂きたいと思う。


ということで随分と長い前置きになってしまったが…えーと、質問はなんだっけか? あ、そうそう、客を見て設定を変えることはあるかってことだな。

う〜ん、一般的には並びがある状況で設定を変える店は少ないと思う。なぜなら、そもそもその時間帯に店長クラスの人間がいることが少ないからだ。ましてや開店1時間前にもなったら店員だって出社しているわけで、設定漏えいのリスクを考えると、そんな状況で設定変更はしないだろう。

それでも敢えて変更するとすれば、グランドオープンとかかな。どう考えても"いかにも"な集団に占拠されるのが明白な場合は…という時くらいだろう。不良客の巣窟になる可能性が高いからな。


とはいえ、全6の予定じゃなかったのに全6にしたというのは事実。だが、何かしらの仕掛けを打つなんてことは極めて稀だし、自店についてはお客さんが不利益をこうむるような変更はしない。例えば、投入予定だった南国の設定6を6以外にするなんていうことはありえない。

ちなみに、白ブタのような者は客ではないのはもちろん、プロだともみなしてないよ? 単なるホールに巣くうガンでしかない。ホールの常連さんとの共生をしっかり考えて立ち回っているプロであれば、喰える機種があったとしても残しておくくらいはするよ。


また質問なんかも待ってるぜ。



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