ホールMGが自称プロ「白ブタ軍団」とバトル! 白ブタ軍団が捨てた台に設定6の札が!

シリーズ名
現役ホールマネージャーだけど、なんか聞きたいことある? (毎週日曜日更新)
話数
第23回
著者
アタマキタ
自分が座っている台にそれが突き刺さると至福の瞬間が訪れる———設定6確定プレート。

随分と懐かしい響きになってしまったのが寂しいよな。あえて古き良き時代と言わせてもらうが、いまではもう見ることがないし、恐らく今後も見ることはないであろうイベント風景である。

いつもであれば21時の設定発表で使う「設定6確定プレート」を両替機の上から掴み取り、俺は南国育ちのコーナーへと向かった。その後ろを「こいつバッカじゃねえの?」「客を騙してんじゃねーよ!」などと喚いたり嘲ったりで大忙しの白ブタがのそりのそりとついてくる。

正直に言うと、制裁を加えたくなる程度には苛立ちを溜め込んでいた。いちいち癇に障ることを罵られ続けたわけだから。そのせいで店に不信を持たれる可能性だってなくはないだろう。しかし、キレるポイントはここではないんだと自分に言い聞かせ、そのマグマを何とか制御していた。


すぐに目的のシマに着く。似非プロ集団が華麗に見切った南国育ちではあったが、既に客は入れ替わって常連客で埋め尽くされている。俺は遊技中のお客様の背後に立ち、しっかりと台番号を確認した。

「まずは…これか」

手に持っていた確定札を南国の324番台に突き刺すと、明らかに周囲がざわついている。


まぁ無理もない。まだ12時前なのだ。通常であれば、21時になってようやく答え合わせが始まるのだから。

また、お客さんからすれば普段あまり見かけない店長が札を差していくという部分にも違和感があったかもしれない。しかも見るからに"輩"なデブ野郎が後ろから睨みを利かせているわけで、違和感というより異様な雰囲気といった方が正確かもしれないが…。

「こいつ…客をなめてんじゃねーよ!」

相も変わらずご機嫌に俺を罵倒してくれる白ブタを徹底的に無視し、324番台、325番台、326番台と連続する3台に確定札を差していった。


ひとまずこれで役目は終えた。俺は南国のシマを後にすると、少し離れた場所から様子を窺ってみる。すると白ブタは、南国に座っていた常連客の一人の背中を軽くたたくと、自らも移動してその客を島の中央に促している。そして常連に話しかけながらも、わざと周りに聞こえるように大きな声で喋り始めたのである。南国コーナーの異変に気付いて様子を見ていたお客さんたちも、こいつの動向が気になるようだった。

「この設定6プレート、完っ全に騙しだぞ! 俺らは朝イチで設定判別したんだよ! だけど今日は南国には1台も6を入れてねぇんだよ!」

白ブタは自分の言葉を燃料とし、どんどんとヒートアップしていく。

「徹底的に客を騙しにかかってるクソイベだから、絶対に打たねーほうがいいぜ!」

ことあるごとにこちらを向いて睨み付けてくるが、俺は何も言わずに黙っている。そして無表情のまま成り行きを見守った。


どうあれ設定6プレートはもう差してしまったし、これ以上何もすることはない。しかしこの時間に札が差されているのは南国だけだったので、このシマだけ異様な雰囲気に包まれている。これがどういう結果をもたらすか…。

「あとは…座った客が俺を信じて、打ち込んでくれればいい」

そう思っていた矢先、先ほど白デブが話しかけた客が手元のコインを両手に持つと、その台を離れてしまった。そしてその姿を白ブタは満足気に眺めている。ただ、空き台となった設定6確定プレートが付いた台には、隣に座っていたおじいさん(こちらもまた常連である)が移動して打ち始めている。


これ以上ここにいても仕方がないかもしれない。俺はこの一連の経過を見守った後、白デブを睨み付けるように、奴の前を通り過ぎた。するとまた背後から人をイラつかせる声が聞こえてくる。

「あ〜あ。うそつきに睨まれちゃったよ。こわいこわい」

それに呼応するように、お付きの家来衆が一斉に笑い出す。俺はこみ上げてくる怒りを抑え、聞こえないふりをして事務所へと戻った。そして簡単な事務処理を済ませた後、自宅へ帰ることにした。


早朝からのトラブルで予定も狂ったし、苛立ちも鎮まっていない。そのせいで余計に疲れたようだ。そんな記憶もろとも洗い流せれば良いのだが…。

「ここまでの行動はおそらく間違っていない。後は設定発表が…勝負だな。あいつを俺の店から永遠に追放してやる!」

シャワーを浴びながら自分にそう言い聞かせ、それからしばしの眠りについた。


目を覚ました時には既に辺りは暗くなっている。夜の設定発表を見届けるために店に戻らなければならない。

「さて、と。出かけるかな〜」

8時前には店に着き、一通り店内を見回ってみた。白ブタやその取り巻きの姿はなくいつもの雰囲気で、イベントも盛況のようだ。

問題の南国育ちコーナーも、自分が店を後にした時から客は入れ替わっていないようである。いくら使ったかは分からないが、台を移った常連のおじいさんも好調のようで、すでにドル箱は5箱目に差し掛かっている。その他の常連客も含め、南国育ちのコーナーは、一見して高設定があるなと感じるほど出玉で溢れかえっている。


時刻が20時55分を迎えると、店内のスタッフの様子が慌ただしくなっていった。それに反応するようにお客さんもそわそわし始め、今か今かとその時を待っている。俺はこの雰囲気が大好きだったのだが、もうこれがないかと思うと残念でならない。

そして間もなく「設定6」のプレートを腰巻のホルダーに装備した主任がカウンターに合図を送った。それを見たカウンタースタッフは軽く頷き、このイベントではお決まりのBGM、「TRY ME」をかける準備をしている。

間もなく高設定台の発表、及び設定確認という本日最大の見せ場が始まる。軽快なリズムと安室ちゃんの歌声がお客さんとスタッフの緊張感と興奮を高めていく。


ちょうどその時だった。島の向こう側を見ると、忌まわしい集団が嫌味な顔を並べてこちらを見ている。白ブタと話した後にプレートの刺さった台を捨てた常連客も一緒だ。

「ふふふ。やっぱり来たか。じゃあ始めようじゃないか」
(つづく)



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