「設備投資するなら客に還元してほしい」とホールMGに聞いてみた

シリーズ名
現役ホールマネージャーだけど、なんか聞きたいことある? (毎週日曜日更新)
話数
第19回
著者
アタマキタ
長くなってしまったので、今回の質問は1つだけ。ではさっそくいってみよう。


【青い閃光さんの質問】
自分のホーム店はよく、データ表示器をかえたり椅子をかえたりと無駄な投資をしまくっています。少しは客に還元しろよと思いますが、あれは当然店の売上からですよね? 同じ店長としてどう思いますか? ちなみにその店は千台規模の大型店です。


【回答】
ホールにおける設備投資の対象というのは極めて幅広く、ホールコンピューターや玉貸し機、カウンターのPOSや払い出し機、データランプや椅子などなど挙げていけばキリがない。とはいえ、大抵の店はそれらを欠いた状態で商売をしているわけではなく、すでに導入は済んでいる。無論、老朽化が進めば故障やトラブルなどの面倒が増すため交換することにはなるのだが、実際はまだまだ使える状態で交換する店が多い。

ホールとしては、セキュリティ面なども含め最新機器の方が安全ということは言える。打ち手にとっても、還元するべきという話を別にすれば、見た目的にも使いやすさという面でも最新設備の方が良いのではないだろうか。しかし当然ながらコスト負担の重さを考慮しなければならないわけで、そのホールも馬鹿じゃないんだから、何かしらのメリットが上回るという判断をしたのだろう。


例えば設置予定のナンバーランプの単価が30000円だとしよう。青い閃光さんのホームが1000台規模ということなら、それだけで3千万円の投資ってことだよな? これは言わずもがな膨大な投資額である。

「その分を玉で出せよ!」という心境になるのは痛いほど分かるよ。ただ、そう簡単な話じゃないこともあるんだ。要は、そういった施策がホールの利益にかなっている場合があるってことだよな。その辺についてちょっと説明していこうか。もちろん、これから書くことと青い閃光さんの通うホールの事例が一緒とは限らないし、別の事情があるのかもしれない。あくまで、こういった場合もあるということだ。


まず、最近は設備関係の業者の倒産が多くなっているという現実を押さえておきたい。これは、以前と比べて新規出店が少なくなっているところに大きな原因がある。

そんな中でももちろん設備機器関連会社は残っているが、その代理店や総発売元となっているのが…遊技機メーカーだったりするわけだ。元々は補給機器メーカーやホールコンピューターメーカーが母体だったものが、その後機械メーカーになったというパターンも多くある。

機械メーカーというものは、ヒットが確実に見込める機械の販売の時は強気になるものである。セット販売的なものや最低購入台数を提示しての優先販売など、いわゆる『大人の事情』をほのめかすことで売り上げ規模を拡大しようとする。ということでここでお待ちかね、設備機器とのセット販売が登場するわけだ。


例えば圧倒的な人気シリーズの新台を10台注文するとしよう。すると、メーカーの営業マンからはこんなことを言われてしまう。

「ご注文有難うございます。ただ、その…10台ということなんですが、今回は人気が集中しておりまして…大変申し訳ないのですが、1台も用意することができません」

人気シリーズが1台も入らないとなるとこれは由々しき事態だ。店側もはいそうですかと簡単に引き下がるわけにはいかないので、営業マンから事情を探ろうとする。

「弊社の取り扱っている備品を購入されたお客様のところに持って行く分だけで台数がオーバーしてまして…」

ぼんやりと見えてきたとは思うが、ここで「物は相談なのだが…」という展開になっていく。で、色々と話を聞いていくと、

「いまナンバーランプが売れてなくてちょっと困っています。もしこちらをご購入頂けるのであれば、会社に掛け合って台数を取ってきます! そう言えば…そちらのチェーン店さんも、人気機種の○○については今は入らない状況だと思いますが、そこも何とかします! 是非ご検討をお願いいたします!」

まぁこんなところだ。

結果的にナンバーランプ1000台分(3千万円)を買うハメになったとしても、当然そこには誰もが欲しがる人気機種が付いて来るわけだ。チェーン店が5店舗あったとすると、1店舗10台でも合計で50台を購入できることになる。それほどの台数は必要ないという場合もあるのだが、このような仕組みで販売されている機械であれば、導入できない店舗が多く出てきても不思議ではないよな。


では、大人の事情に抵抗したホールがその人気機種を手に入れようとしたらどうするか? それはもう中古市場で手に入れるほかない。

ちなみに、中古相場がどんな感じかというと、最高ランクの機械だと1台200万以上で取引される…なんてことも。どのホールも喉から手が出るほど欲しがっている機械だとここまでのことも起こり得るのだ。

では、そんな機種を大量に購入できたらどう使うだろう? 自店では10台使うので余ることはないが、各チェーン店で必要な台数は5台ずつ。つまりフルで使っても60台中35台で、25台は余る計算となる。そしてその機械が中古市場で200万円の値がついていたら!?

メーカーが販売する機械単価が40万円だと考えると、ざっくり1台分で160万の利益が出て、25台の合計だと4000万円。こうなるともうナンバーランプの支払いはおろか、1000万円分の放出予算も確保できてしまうという具合だ。


確かに設備投資をすれば金はかかるし、全てがこのような上手い形に収まるわけではない。しかし投資分以上の対価を得られる場合があることもまた事実。その仕組みがそもそもどうだとかいってもそれが現実なのだから仕方がない。実際にそのフィールドで戦っている者としては、そこから目を背けても負けてしまえば意味はないのだ。

ただし、そうやった得た金が放出予算に回されたのかどうかは問われるべきだろう。得た利益は玉で還元すべきで、ポケットにしまっちまえば、それは単なるボッタクリ営業でしかない。

どんな形であれ、お客に還元するためという行動原理があるのなら、個人的には認めざるを得ないし、結局そういう上手く立ち回れる企業がお客に選択されて残っていくのだと思う。


ということで今回はこの辺で。引き続き、質問もお待ちしております。



質問を送る