攻略ライターとしては自信あります。必要な資質って……

シリーズ名
町民プールで鮪釣り (毎週火曜日更新)
話数
第9回
著者
ラッシー
俺がライター(パチスロに限らず)になろうと思った頃、ちょうどパチスロ必勝本がライターを募集していた。当時ニートの俺は書類選考をパスする自信なんてなかったが、意外にもあっさり通って面接へ。

今思えば俺が映像関係で仕事していたという部分に目を付けたのかもしれない。必勝本の偉いさんは将来映像の時代が来るとすでに気付いていたのかもね。

面接と筆記試験を終え(内容は秘密)、待つこと数日。編集部の偉いさんから連絡が入った。「ウチは商業誌だから、新人ライターにいきなりたくさんの仕事を与えるのは難しい。だけど編集の仕事ならたくさんあるから、まずは編集から始めたら?」と。

俺は「編集って何だ!?」と思ったが、たしかに雑誌作りの工程も知らないし、文章やパチスロのこともたくさん勉強したい。そう思い、編集部員として採用して頂くことに。


そこから編集のノウハウを身に付けつつ、パチスロの知識・立ち回り力も急激に上昇。まだ4号機時代、しかもストック機全盛期で今よりも勝ちやすかったので、月々の家賃や生活費はパチスロで十分賄えた。給料に手を付けない月もよくあったな(遠い目)。

個人的に最も向上したと思うのはパチスロの知識だ。パチスロの規定・システムについての理解や、リール制御に関する知識も急激に深まった。

編集部員もライターもみんなパチスロに詳しいから、それが刺激になってどんどん吸収していく。新台の仕様を聞くだけで、システムをほぼ正確に把握できるほどになった。

4号機時代の機種はリール制御こそ今より複雑だが、システムは現在の5号機より遥かに単純。リプレイが成立しようがボーナスが成立しようが、制御で揃えさせなきゃ済む話だ。若いプレイヤーは何の話か分からないだろうから、少しだけ説明しよう。

たとえば4号機のボーナスストック機は2つに大別できる。他にも珍しいシステムの機種は存在したが、主流はこの2つだ。

[1] 頻繁に成立しているリプレイがボーナスの入賞を邪魔している。しかしそのリプレイもリール制御で揃えられないので、プレイヤーから見ればただのハズレ目が停止する。その内部的なリプレイ頻発状態(内部RT)を解除すると、やっとストックしていたボーナスが放出される。

[2] 成立しているボーナスをリール制御で揃えられなくしている。条件を満たせばボーナスを揃えられるリール制御になる=ストック放出というわけだ。

ね? 単純でしょ。都合が悪けりゃリール制御で蹴ってしまえばいい。これで簡単にストックシステムを作れたわけだ。

4号機は5号機よりリール制御の縛りがユルかったので、どんなゲーム性でも実現できた。5号機は「1つのフラグに対し制御テーブルは1本」が原則。それゆえ4号機のストック機を上回るようなゲーム性を実現しようとしたら、遥かに大変。RT状態を移行させて…とか、1枚役と同時成立させて…とか、システムは現代の機種のほうが遥かに複雑なのだ。

みんな簡単に「クソ台! クソ台!」と切り捨てるけど、メーカーは工夫して苦労して作ってるわけですわ。まあ、それでもつまらなきゃ意味ないけど。


最近この仕事をしていて感じるのは、先述したようなパチスロの規定や仕組みを知らない人が増えたな…ということ。

単純な話、魚のことを知らない魚屋から、魚を買いたいと思いますか? 車が走る仕組みを知らない車屋から、車を買いたいと思いますか? だからパチスロライターは、パチスロの規定や仕組みに精通してなきゃいけないわけ。

4号機以前からパチスロを打ち続けているヘビーユーザーは、俺と同程度の知識を持っているのが当たり前。一般プレイヤーでも、システムについては最近の若いライターより詳しいくらい。

そんな人たちがTVや雑誌を見ているのだから、納得させるためにはその人たちに負けないほどの知識がマストになる。


パチスロの知識を身に付けると、色んなことが見えてくる。

たとえば先日の収録で俺が「バジリスク絆」の赤同色BCを揃え損ねたシーン。俺の目押しはいつもいい加減なのだが、さすがに「引き込み範囲内」には押しているつもりだ。

ではなぜ赤同色BCを揃え損ねたのか。これには2つの要因がある。

[1] 有効ラインは中段1ライン
[2] 赤いBAR絵柄は2つの絵柄が繋がっている

5号機は「実際の有効ラインは1〜3ラインだけど5ラインに見せている」という機種が多い。

で、俺はバジリスク絆を打つ際、中段1ラインだということをあまり意識していなかった。そして目押しをミスしたのは中→右→左の第2停止、右リールを止めた際。「引き込み範囲内」で押した感触はあったのだが引き込んで来なかった。

理由は単純。右リールの2連赤BARは、上が本物の赤BC絵柄で下が瞳術絵柄。それを普段あまり意識していないため、瞳術絵柄が中段に届く引き込み範囲で押してしまった。つまり本物の赤BC絵柄を中段から5コマ上に押してしまったと思われる。

「他の機種ではあまり目押しをミスしないのに、なぜかこの機種だけはミスが多いな」と感じたら、冷静に配列と有効ラインを見てみよう。こんな風にミスの原因が分かってくるケースもある。


ちなみにパチスロの規定(ルール)は、我々のような業界人も知らないところで常に更新されていく。ついこの前までOKだったものがNGになったり、その逆もある。

俺くらいの業界歴になればパチスロの開発に携わっている知り合いも多いので、自分の理解を超えたシステムが登場したときは「こんなシステム可能なの?」と聞いたりすることも。もちろんその機種を作ったメーカーの開発者に直接聞くってことはナイですがね。

開発者は秘密が多い仕事ゆえ、我々のようなライターに接触することさえ禁じられているケースも多い。開発の知り合いは何人かいるが、常に「これは聞いちゃいけない」という線を引いているので、得するような「ズルい情報」は聞いてませんよ!


最近はあまりないが、昔は一般のプレイヤーから「僕のほうが立ち回り上手いですし、勝ってます」と煽られることがたまにあった。「ふ〜ん…で?」である。

俺の持論なのだが、パチスロは自制心さえあれば誰でも勝てる。徹底した立ち回りより、遊びたい・楽しみたいという気持ちが勝ると負けてしまう。

そもそも立ち回ることを放棄している人もたくさんいる。今は負けキャラになっている必勝本の先輩や同期も、昔は普通に勝ちまくっていたし、今でも本気で立ち回らせたらプラス収支をどんどん重ねていくと思う。

でもさ、ライターがプライベートで勝ったからって読者・視聴者になんの得があるの? ライターは自分の勝ち負けじゃなく、自分の記事の読者や、解説を見てくれている視聴者を勝たせるべきだ。「勝った、負けた」で気持ち良くなりたいなら、スロプロ同士で競えばいい。

俺のような攻略ライターは、担当機種で「勝たせる情報を提供する」のが仕事なのだ。それゆえ「パチスロの知識がない」では済まされない。

「専業でスロプロやってました」という新人ライターは多いけど、パチスロに対する知識や理解度で驚かされたことは最近ない。

雑誌やネットに与えられた情報や、仲間とのノリ打ちで勝ち続けるのは当たり前。そんな人、一般プレイヤーにもたくさんいる。ライターに必要なのは勝ち負けの実績なんかじゃなくて、他の人が見つけられない攻略ポイントを知識や経験から見つけ出して発信するチカラだ。


最後に少しだけ昔話に戻ろう。

編集部員としての下積みは約2年半。知識を蓄え、文章でもイケると判断した俺は、満を持してライターに転身。

しばらく低空飛行を続けていたが、青ドンの真・高設定狙い(特定ボーナスに注目した高設定狙い)や、赤ドンのドンビッグ攻略(ビタ押しでのポイント獲得を見抜く方法)を考案したあたりから仕事が軌道に乗り出した。

そして初代・緑ドンの静画面攻略、緑ドンVIVAのサンボ…。俺がこれまで何をしてきたか、多分最近の若い編集部員やライターは知らない。

たしかに俺は動画の演者として華はないし、トークも上手くない。ただ「攻略ライター」としての自信は…ごめんなさい、あります!

動画に出演して楽しく日々を過ごすのもイイ。だが、キミより遥かに知識を持つ視聴者が、たくさんキミを観ているんだよ。これでもライターになる自信はあるかい?

まあ、「誰でもなれる簡単な職業」や「バカの集まり」みたいに見えるような誌面・動画を作ってきたのも俺らだから、責任は俺らにあるんだけどね。俺がライターになる前のライターといえば「尊敬」「畏怖」「憧れ」の対象だったのに。

このままじゃ先人たちに顔向けできない。各媒体で活躍するライター諸君、ナメられないようしっかりとした仕事をしましょうぜ! 前途ある若者が道を踏み外さないためにも。